西サハラ友の会通信 No. 35(2024年1月11日)2023年6月・7月分
目次
【西サハラ/占領地】
・スペインの弁護士2人、モロッコが入国を拒否
・西サハラ占領地でのイスラエルのビジネス
【モロッコ】
・国王の健康不安
・「アフリカのライオン」合同演習にイスラエルが参加
・米軍、西サハラでの演習を否定
・サッカーワールドカップ2030、ポルトガル・スペイン・モロッコ共同開催を提案
・ワールドカップ2030にウクライナも入る?
・モロッコ航空、西サハラ占領地への旅を欧州でプロモート
・モロッコ、ネゲヴ・フォーラム閣僚会議を再度延期
・モロッコ軍、イスラエル製ドローンSpyXを購入
・米国から軍用車500台を供与される
・国王、演説をカット
・モンジブ教授、大学から停職処分(3月の記事)
【モーリタニア】
・有望なガス田発見(2022年のニュース)
【スペイン】
・ハビエル・サンチェス氏インタビュー(『私をおいて行かないで』の作者)
・スペイン総選挙:SUMAR候補者リストにサハラーウィ活動家
・モロッコ人の国籍申請を却下:西サハラをめぐるスパイ活動が理由
・元モロッコ大使、サンチェス首相の西サハラ政策転換を批判
・西サハラ管制域のモロッコへの引き渡しを取り止め
・モロッコからの移民49%増加
・ムハンマド6世への手紙は誰が?
・リフ地方抗議デモ:モロッコ国立銀行の解雇は無効
・サンチェス首相の盗聴、14ヶ月続いた
・サラマンカ大学、モロッコ・チェアを創設
【フランス】
・マクロン大統領はムハンマド6世をひどく罵った
・元仏国連大使「モロッコはフランスを脅迫している」
【ドイツ】
・独伊、ガスパイプライン敷設に合意
【イスラエル】
・西サハラに対するモロッコの主権承認はネゲヴ・フォーラムの開催が条件
・イスラエル、モロッコの西サハラへの主権を承認
・モロッコに戦車を販売
【ノルウェー】
・ノルウェーで莫大な埋蔵リン鉱石発見
【EU】
・西サハラ産リン鉱石輸入は違法
・EUモロッコ漁業協定の議定書、7月17日に失効
【国連】
・グテーレス事務総長、西サハラに言及
【西サハラ/占領地】
スペインの弁護士2人、モロッコが入国を拒否
スペインの弁護士2名、イネス・ミランダ氏とロラ・トラビエソ氏は弁護士評議会の委託を受けて西サハラの人権状況を視察するためエル=アイウンに到着したが、入国を拒否された。NGOの国際法律家協会(ICJ)はこれを非難した。ICJによれば、彼女たちは不法に拘束され、モロッコ警察の「腹立たしい取扱い」を受けた。2人はサハラーウィ政治囚の家族の「深刻な人権侵害」の訴えを受け、それを調べに行くところだった。(El Mundo, 3 June 2023)
https://www.elmundo.es/espana/2023/06/03/647b2ebdfdddffc03b8b456d.html
西サハラ占領地でのイスラエルのビジネス
西サハラ占領地で活動するイスラエルの会社といえば、NewMed Energy、Ratio Petroleum、Selina Group、Halman-Aldubi Technologiesと、魚の養殖を行う名前のわからない会社が一つある。MintPress Newsはこれらの会社に問い合わせたが、答えは戻ってこなかった。
Ratio Petroleumの子会社Ratio Gibraltarは2021年9月にモロッコ政府の炭化水素・鉱物事務所(ONHYM)と契約を結び、ダーフラ沖合での石油・ガス探索に乗り出した。NewMed Energyは2022年12月、ONHYMとジブラルタル(英)に拠点をもつAdarco Energyと西サハラのブージュドゥール・アトランティク鉱区での石油・ガス探索を始めた。NewMed Energyはイスラエルのデレックグループの子会社であり、欧州・米国の投資家の支援を受けている。この4月、Selina Groupはダーフラに新しいホテルをオープンした。
同じく4月、イスラエルのスタートアップ企業群とHalman-Aldubi Technologiesはムハンマド6世工科大学と提携し、西サハラにおける持続可能な食料問題の解決をはかると発表した。これにはSeakura、Shachar Group、FreezeM、Celitronといった企業が含まれている。(MinPress News, 7 June 2023)
https://www.mintpressnews.com/exporting-occupation-israel-business-booming-morocco-occupied-western-sahara/284942/
【モロッコ】
国王の健康不安
最近とみに痩せた姿がメディアに出るようになったモロッコのムハンマド6世国王だが、サルコイドーシス(sarcoidosis)という難病だと報道されている。また、上手く歩けない様子も報道されている。(注:ネットで調べたところでは、サルコイドーシスは肉芽種がいろんな臓器に現れる病気で、心臓に現れた場合心臓麻痺など深刻な事態をもたらすこともあるが、その他はあまり心配がいらない病気のようです)いずれにしても、病的なほどに痩せたのは事実で、後継者問題が取り沙汰される理由になっている。後継者と目されるのは、息子のムーレイ・エル=ハサンであるが、なにせまだ大学生で20才と若い。国王の弟のムーレイ・ラシードも候補に挙がっている。後継者問題は王室にとって政治的「地震」になりうる。(Afrik.com, 31 May 2023)
https://www.afrik.com/maroc-mohammed-vi-tres-malade-guerre-en-vue-entre-les-deux-moulay
「アフリカのライオン」合同演習にイスラエルが参加
6月6日、米国が主導して2週間行われる北アフリカでの合同軍事演習「アフリカのライオン(African Lion)」にイスラエルが初めて参加した。参加するイスラエル軍人は12名。ホスト国はモロッコ。8,000人の参加兵の半分は米軍で、アフリカ諸国の軍、そして欧州の軍、ブラジル軍が参加する(スペインは参加しない)。また世界20ヶ国からオブザーバーが来る。今回の演習では、アルジェリアとの国境から45kmの地点にある西サハラ占領地のマフベスでも初めて作戦が行われると、モロッコは発表した(しかし米国はこれを無視)。イスラエルの軍人は数は少ないが象徴的な意味をもつ。
アルジェリアからの報道によると、アルジェリアはモロッコとの国境近くでの演習を脅威とみなし、西サハラ占領地での演習を「徴発」とみなしている。そして首都アルジェから1,000km南西にあってモロッコとの国境から数十キロのベシャール州・アマギール(Hammaguir)に軍を配備した。ベシャール州は60年前、アルジェリアとモロッコが独立後に戦争をした場所で(砂戦争と呼ばれる)、昨年ロシアとの合同演習をするといいながらのちに行われなかったと発表されたところだ。(El País, 7 June 2023)
https://elpais.com/internacional/2023-06-07/el-envio-de-soldados-de-israel-a-maniobras-en-marruecos-amenaza-con-elevar-la-tension-en-el-magreb.html
米軍、西サハラでの演習を否定
モロッコ側の発表にも関わらず、実際には西サハラで「アフリカのライオン」演習は行われなかった。米軍のクリス・ブラドレー報道官によれば、演習の範囲は北はケニトラ空軍基地から南はタンタンとグリール・ラブイヒー訓練地域までだということだ。モロッコが合同演習に西サハラを含むと発表し米国がそれを否定したのは今回が初めてではない。むしろ、米議会は西サハラ問題を理由にモロッコ以外の演習地を探すよう要請したほどで、政府はそれに応えていない。(La Provincia, 8 June 2023)
https://www.laprovincia.es/canarias/2023/06/08/segunda-negativa-llevar-african-lion-88473987.html
サッカーワールドカップ2030、ポルトガル・スペイン・モロッコ共同開催を提案
モロッコはサッカーワールドカップのホストとして過去5回名乗りを上げ、いずれも選ばれてこなかった。そのため2030年は、ポルトガル、スペインとの共同開催をすることで名乗りを上げた。スペインが6グループ、ポルトガルとモロッコが3グループを迎え、決勝戦はスペインで、初戦はモロッコでという構想らしい。実現するかどうかは2024年5月17日のFIFA会議で決定される。(Africa Intelligence, 30 May 2023)
https://www.africaintelligence.fr/afrique-du-nord/2023/05/30/coupe-du-monde-2030–comment-rabat-a-rejoint-la-candidature-de-madrid-et-lisbonne,109978103-art
ワールドカップ2030にウクライナも入る?
ワールドカップ2030のホスト国候補としてウクライナも名乗りを上げた。ポルトガル・スペイン・モロッコ3ヶ国共同開催の案は2018年にサンチェス首相が出したもので、もともとはウクライナとの3ヶ国共同開催だったが、ウクライナサッカー連盟の汚職問題が持ち上がり、ウクライナをモロッコに代えることになった。しかし、スペイン王立サッカー連盟会長のルイス・ルビアレス氏は4月18日、ウクライナを入れた4ヶ国開催の案を捨ててはいないと発言した。また、7月5日にはフランスのスポーツ紙が、スペインとポルトガルはウクライナを入れた提案を準備しているとすっぱ抜いた。しかし、モロッコサッカー連盟会長に近い筋によると、自分たちは4番目の国については聞かされておらず、3ヶ国共同開催を基本と考えているという。5月のモロッコ・ポルトガル高級事務レベル会議では候補となるのは3ヶ国だと確認されたという。
一方、欧州議会では5会派から30人の議員がジョヴァンニ・インファンティノFIFA会長にモロッコがダーフラ(西サハラ)で建設しているスタジアムを試合に使用しないよう要請文を送った。そのうち9人はスペイン選出議員だ。彼らは左翼会派に属する5人とガリシア民族ブロック、シウダダノス(カタルーニャ)、バスク民族党だ。また、社会党系が5人いるがスペイン人はいない。欧州国民党系(スペインの国民党を含む)は一人も参加していない。
モロッコは建設中のダーフラのスタジアムを2025年のアフリカカップで使い、2030年のワールドカップに繋げたい意向だ。ただ、ダーフラはカサブランカから1,615km、ラス・パルマスから704kmも離れており、飛行機しか移動手段がない。(El Confidencial, 10 July 2023)
https://www.elconfidencial.com/deportes/futbol/2023-07-10/fifa-gianni-infantino-mundial_3692644/
モロッコ航空、西サハラ占領地への旅を欧州でプロモート
モロッコによる欧州議会買収事件(モロッコゲート)の捜査が進行中であるにも関わらず、モロッコ航空は5月以来欧州議会がおかれているストラスブールで西サハラ占領地のダーフラへの直行便の宣伝を大々的に行っている。宣伝ポスターは皮肉にも「変更可能」などと書いている。西サハラはモロッコではないためEUモロッコ航空協定がカバーしておらず、EUと西サハラの間の民間航空事業を律する枠組みがない。また、ストラスブールのモロッコの領事は、2月19日から26日まで、EUアフリカ青年組織の9人をダーフラに連れて行った。若者たちはどの国を訪問しているかちゃんと知らされなかったようで、案の定、モロッコメディアにインタビューされ、モロッコによる西サハラ占領を正当化するような印象を与えるのに利用された。(Western Sahara Resource Watch, 15 June 2023)
https://wsrw.org/en/news/morocco-pr-campaign-in-heart-of-eu
モロッコ、ネゲヴ・フォーラム閣僚会議を再度延期
6月25日にモロッコで開催予定だったネゲヴ・フォーラム閣僚会議が再度延期されることになった。理由はイスラームの祭礼であるイード・アル=アドハ(Eid al-Adha)が始まるからだというのだが、これで5回目の延期となる。ネゲヴ・フォーラム(Negev Forum)は2022年3月に設立されたイスラエルとアラブ諸国の多分野協力会議で、保健、経済、気候変動、水、安全保障などを議論する。モロッコは「ネゲヴ」ではなく、もっと一般的な名称、例えば中東北アフリカ平和開発会議のような名称に変更するよう提案している。また、アラブ諸国は右派のネタニヤフ政権と連携することに懸念を表明している。(Axios, 15 June 2023)
https://www.axios.com/2023/06/14/morocco-negev-forum-postponed-again-israel-us
モロッコ軍、イスラエル製ドローンSpyXを購入
モロッコ軍はイスラエル企業ブルーバード航空システム社(BlueBird Aero Systems)の攻撃型ドローン、スパイX(SpyX)を購入する最初の国となった。このドローンはパリの航空ショーで発表された。そのプロモーションビデオはモロッコで撮影されており、モロッコ軍が所有するトヨタ車に積まれていた。このドローンは50kmの作戦範囲と1時間半の滞空時間をもり、対人及び対戦車攻撃に使える。現在モロッコはブルーバード航空システム社のドローンを2種類使用している。一つは150kmの作戦範囲をもつThunderB VTOL(垂直離着陸型)、もうひとつは50kmの範囲をもつWanderB VTOL(垂直離着陸型)だ。ブルーバード航空システム社はイスラエル航空工業(Israel Aerospace Industries)社が50%の株をもっている。モロッコはブルーバード航空システム社と150機のドローンを購入する契約を結んでいる。すでにある程度購入は進んでおり、一部は2023年「アフリカのライオン」共同演習で使用された。モロッコはイスラエルからHaropドローンをすでに購入しており、イスラエルのドローンはこれで2種類目となる。まだ公表されていないドローンをもっている可能性もある。(Defensa, 24 June 2023)
https://www.defensa.com/africa-asia-pacifico/fuerzas-armadas-marruecos-dotan-nueva-municion-merodeadora-spyx
上記のSpyXドローンのホームページ:
https://bluebird-uav.com/spyx-loitering-munition/
米国から軍用車500台を供与される
モロッコは米国から1億ドル相当の軍用車500台を無償で供与された。軍用車の種類は公表されていない。米国の防衛装備品追加条項(EDA: Excess Defense Articles)に基づいた援助だ。EDAは外国援助法(Foreign Assistance Act)の644(g)条に定義がなされている。モロッコはEDA世界第2位の受益者として過去10年で数億ドルもの無償援助を受けてきた。例えば2016年にはM113-A3装甲兵員輸送車600台、M-16機関銃24,000丁を受け取った。2019年にはM1078、戦術輸送トラックであるM1083、M1084標準貨物トラック100台とC-130Hハーキュリーズ輸送機を受け取った。(Defensa, 22 June 2023)
https://www.defensa.com/africa-asia-pacifico/marruecos-recibira-500-vehiculos-militares-provenientes-estados
国王、演説をカット
モロッコ王室は、年に4回行われる演説の一つ、8月20日「革命記念日」(独立記念日)のスピーチをキャンセルすると発表した。健康問題が背景にあるらしい。(El Independiente, 30 June 2023)
https://www.elindependiente.com/internacional/2023/06/30/mohamed-vi-elimina-uno-de-sus-cuatro-discursos-anuales-entre-la-preocupacion-por-su-salud/
モンジブ教授、大学から停職処分(3月の記事)
ムハンマド5世大学アフリカ研究所の所長で教授、歴史家のマアティ・モンジブ(Maâti Monjib)氏(61)が停職を言い渡された。もはや給料は払われないという。モンジブ氏は民主活動家であり、市民ジャーナリズムの唱道者でもある。そのことで度々逮捕、裁判、投獄の憂き目に遭ってきた。それでもさすがに停職はなかったが、今回は停職となった。海外渡航も禁止され、財産が凍結された。(AFP/L’orient le jour, 9 Mar. 2023)
https://www.lorientlejour.com/article/1330913/lhistorien-maati-monjib-suspendu-de-son-universite.html
【モーリタニア】
有望なガス田発見(2022年のニュース)
埋蔵量が100兆立法メートルあるというガス田がモーリタニアに発見された。政府はすでに採掘計画を完了したという。モーリタニアは現在日産5,000バーレルの石油と少しのガスを生産している。来年、セネガルとの共同鉱区であるタートル鉱区でガス採掘を始め、ガス輸出国の仲間入りを果たす計画だ。そこは25兆立法フィートの埋蔵量がある。残りの埋蔵量はすべてモーリタニア側に属する。採掘が始まれば、モーリタニアはナイジェリア、アルジェリアに次いで3番目のガス輸出国になるだろう。すでにブリティッシュ・ペトロリウム(英)、コスモス・エナージー(米)、エクソンモービル(米)、トータル(仏)が関心を示している。(Al Mayadeen, 17 June 2022)
https://english.almayadeen.net/news/economics/mauritanian-gas-reserves-let-nouakchott-into-exporters-club
【スペイン】
ハビエル・サンチェス氏インタビュー(『私をおいて行かない
で』の作者)
弁護士で作家のハビエル・サンチェス・サンチェス(Javier Sánchez Sánchez)氏は、西サハラをテーマとした『私をおいて行かないで(No me dejes solo)』という小説を2022年に発表した。それは3つのスペイン最後の植民地、キューバ、ギニア、西サハラの独立に向かうプロセスを舞台とした「忘却の三部作(Trilogía del Olvido)」の最後の作品となっている。実際の歴史的事件を背景に、その中で苦しんだサハラーウィたちを描く。インタビューで彼は次のように述べている(一部のみ)。(その後ハビエル・サンチェス氏は8月26日に亡くなる。)
(問)スペインは植民地の喪失過程でひどい振る舞いをしたのか?
(答)そうだ。非植民地化を行ったのは当時の政治・経済エリートで、事態に向き合わず、階級や政党のことしか考えなかった。植民地を去るにあたってすべてを忘却の霧の中に置き去りにした。歴史的検証もない。プライドが傷ついたからでもある。それらはわれわれの記憶を呼び覚まし、われわれの不在を嘆きさえする。だからそれに背を向けることにしたのだ。
(問)スペインの場合、西サハラは最悪の犠牲者だろうか。
(答)まったくその通りだ。キューバはアメリカ人の手に渡った。彼らはキューバの解放者になると言っていて、実際はそうならなかったが。ギニアはマシアスという支離滅裂な大統領に渡してしまった。しかし、われわれはサハラーウィを最悪の敵、モロッコに渡してしまったのだ。
(問)スペイン政府の西サハラに対する立場変更をどう思うか。
(答)直感的には、裏切りだと思った。ペドロ・サンチェスがムハンマド6世に出した手紙について公にした時、私はマドリードでポリサリオ戦線の指導者と会う約束をしていた。しかし、それを延期した。あまりに恥ずかしくて、会うことができなかったのだ。(Diario de Sevilla, 1 June 2023)
https://www.diariodesevilla.es/entrevistas/Espana-entrego-saharauis-peor-enemigo-Marruecos_0_1797422117.html
スペイン総選挙:SUMAR候補者リストにサハラーウィ活動家
ヨランダ・ディアス(Yolanda Diaz)率いるSUMAR(左派・進歩派の連合)は西サハラの自決権を支持する立場を堅持し、来る選挙の候補者リストにサハラーウィ活動家テシュ・シディ(Tesh Sidi)を入れる。ヨランダ・ディアスでは現サンチェス政権で副首相を務めている。ポデモスの副首相パブロ・イグレシアスが内閣を去り、彼女に後継を譲った。Tesh Sidiはマドリードの候補者リストの3番目になる予定だ。(El Día, 13 June 2023)
https://www.eldia.es/nacional/2023/06/13/conflicto-sahara-occidental-entra-campana-88626617.html
モロッコ人の国籍申請を却下:西サハラをめぐるスパイ活動が理由
5月31日、スペインの裁判所はスペイン国籍を申請していたモロッコ人に国籍を付与しない決定を下したが、その理由はその人物がモロッコ情報当局のある指導的立場の人物と連絡があり、スペインでポリサリオ戦線及び在スペインモロッコ人の監視活動をしていたからだった。過去11年間、スペインの裁判所は少なくとも5人のモロッコ人の国籍申請を国家情報センター(スペインの情報局)の情報を基に却下している。今回の申請者は22年間スペインに住んだ後、2010年5月に国籍申請手続きを始めた。しかし、行政は2019年4月に申請を却下。理由は執筆者不明のある報告書で、本紙はそれを入手した。報告書は国家情報センターのもので「公共の秩序と国家利益を理由に」申請を却下するようアドバイスしていた。申請者はその後行政裁判を起こし、今回の判決に至った。
こうしたケースは今回初めてではない。昨年9月にも、マドリードのモロッコ領事館で働くモロッコ人が国籍を申請していたが、国家情報センターが2011年からモロッコ情報当局との関係があるとしてマークしていた人物であり、申請が却下された。(El País, 19 June 2023)
https://elpais.com/espana/2023-06-19/una-sentencia-destapa-el-espionaje-de-marruecos-al-frente-polisario-en-espana.html
元モロッコ大使、サンチェス首相の西サハラ政策転換を批判
元CNI(国家情報センター)長(2001-2004)でモロッコ大使も務めた(1997-2001)ホルヘ・デスカリャル(Jorge Dezcallar)氏は、6月21日、バルセロナ乗馬協会の講演で、サンチェス首相の西サハラ政策の転換を「重大な誤り」と批判した。「モロッコの拒否で住民投票を行うことができないと国連が判断した際、少なくとも当事者間での協定が必要だと考えられた。スペインはその決定を支持した。それでうまくやっていたところに、それまでの政府の立場や関係国の立場、反対者の意見を調べもせず、モロッコの西サハラに対する主権を認めるようなことを言ってしまった」、「しかも首相の書簡はモロッコ側から漏洩して知られたわけで、われわれはその全文を知らない。議会がその開示を求めたにもかかわらず」と語った。また、モロッコの西サハラへの主権を認めることはスペインにとってまったく利益にならないと、デスカリャル氏は言う。「何を得たのか。不法な移民が減った?確かに。しかし、それはまた元に戻る可能性がある。」さらに「セウタやメリリャはモロッコに窒息させられかけている。モロッコがセウタやメリリャを放棄すると思う人はよく見るべきだ。モロッコとはまだ未解決の国境線問題がある。メリリャの税関はまだ開いてもいない。サンチェスの取った行動はアルジェリアとモロッコの間の問題の火中にスペインを放り込んでしまった。今スペインにあらゆる方向から石が投げられている」と述べた。そして「サンチェス首相は議会の支持を得ていない。外交はコンセンサスでなければならない。国家利益に関わるからだ。政権が代わったからといって国家利益は変わらない。政策を変えるのは可能だし正当なことだが、それで何が得られるかちゃんと説明しなければならない」と述べた。(EFE/Cope, 21 June 2023)
https://www.cope.es/actualidad/espana/noticias/dezcallar-exdirector-cni-giro-sanchez-sobre-sahara-error-muy-grave-20230621_2776114
西サハラ管制域のモロッコへの引き渡しを取り止め
スペイン政府は、西サハラ管制域をモロッコに引き渡す考えでいたが、それを取り止めた。(西サハラ管制域の引き渡しについては「西サハラ友の会通信 No. 33を参照。)それを受けてモロッコはセウタとメリリャへの圧力を増大させた。現在、西サハラの空域はスペインの管轄下にあり、カナリア諸島からその管制は行われている。しかし、モロッコは西サハラの空域を不法ながら事実上支配している。例えば、2021年12月、カタール空軍機(Boeing C-17 Globemaster III)が西サハラ空域に入り、エル=アイウンの空港に着陸した。この飛行機(フライトコードLHOB250)は軍事的な重機を運ぶ「秘密の」飛行を続けていたらしく、イタリアのメディアが暴露した。また、衛星画像から、モロッコ軍戦闘機もエル=アイウンに駐機していることがわかっている。その後、モロッコはセウタとメリリャという「モロッコの都市」についてスペインが敵対的な言動を行っているとしてEUに異議を申し立てた。関係筋は、これが西サハラ管制域の引き渡し停止にからめたものだという見方をしている。(El Confidencial, 21 June 2023)
https://www.elconfidencialdigital.com/articulo/politica/gobierno-frena-traspaso-marruecos-gestion-espacio-aereo-sahara-que-ahora-controla-canarias/20230620200054593716.html
モロッコからの移民49%増加
サンチェス首相の西サハラに関する政策変更にもかかわらず、北アフリカからの移民の数は増加している。先月は3,000人以上がスペインに入国し、それは48.6%の増加にあたる。移民の増大は5月28日の地方選挙の結果に関係していると考えられる。移民が最も多く来たのがカナリア諸島で、全体の80.6%にあたる。5月半ば以来2,419人が北アフリカから36隻の船で到着した。69.7%の増加だ。今年に入って5月までに来た移民のおよそ倍の数だ。今週水曜には、西サハラのブージュドゥール岬からグラン・カナリアに向けて60人を乗せてやってきたゴムボートが沈没し、子どもが死亡するという事故があった。カナリア諸島にやってくるのはモロッコやモーリタニアからだ。
同様にアンダルシア州やバレアレス諸島(地中海)でも25.2%増加している。つまり、昨年12月以来続いた移民の減少が下げ止まったことを意味する。4月終わり、2,526人がアンダルシアとバレアレス諸島に到着した。ほとんどがアルジェリア人だった。
今回の移民の波の復活は、サンチェス首相が西サハラ政策の転換をして14ヶ月経ってから起きている。当時、スペインとモロッコは国境管理をよりタイトにすることで合意したのだが、現実には逆行が始まっている。(The Objective, 22 June 2023)
https://theobjective.com/espana/2023-06-22/giro-sanchez-sahara-inmigracion/
ムハンマド6世への手紙は誰が?
西サハラ政策の転換をムハンマド5世に告げたとされる手紙を、サンチェス首相は自らは送っていないことを告白した。手紙はモロッコで暴露され、そのスペイン語訳がスペインの新聞ですっぱ抜かれたものだった。しかし、原本は見つかっていない。大統領府の技術的・法的調整部長の署名入り文書(6月16日)で、政府はかかる手紙を誰が書いたのか、またいつ、どのように発送されたのかを知らないと言う。2023年3月30日、透明性評議会決議No. 216/2023は、外相に手紙の開示を要求したが、政府は開示に応じていない。手紙を公にすれば二国間関係を危機に陥らせる、というのが理由だ。その後、手紙は本当に首相が書いたのか、モロッコ側で書かれたのではないのかという疑念が浮上し、今に至っている。(El Debate, 26 June 2023)
https://www.eldebate.com/espana/20230626/sanchez-confiesa-fin-no-sabe-cuando-como-quien-envio-carta-cesion-sahara-marruecos_124015.html
リフ地方抗議デモ:モロッコ国立銀行の解雇は無効
ジュワード・バッラフサン(Jouad Ballahsan)とハナーン・ビジュビジュ(Hanane Bijbij)はモロッコ・リフ地方の出身で、2017年6月2日、マドリードでの抗議デモに参加した。リフ地方ではその4日前、地域のリーダーであるナーセル・ゼフザーフィー(Nasser Zefzafi)が逮捕されたことに対する平和的な抗議が起きていた。ナーセル・ゼフザーフィーはのちに20年の刑を言い渡されることになる。モロッコでは2017年5月から2018年6月にかけて、798人のリフ人が投獄された。その内158人は子どもだった。4人の主たるリーダーは今もって監獄の中にいる。
ジュワード・バッラフサンは国営人民銀行の子会社であるシャアビ銀行(Banque Chaabi)マドリード支店長、ハナーン・ビジュビジュはその支店の行員だった。二人とも解雇された。
6年後、バッラフサンは7月7日(金)長い裁判に勝った。憲法裁判所の判決は、解雇が表現の自由、思想の自由に関する権利を侵害したと認め、解雇は無効であると宣言した。(El Confidencial, 7 July 2023)
https://www.elconfidencial.com/espana/2023-07-07/tc-declara-nulo-despido-marroqui-banco-manifestacion_3692081/
サンチェス首相の盗聴、14ヶ月続いた
イスラエルのNSOグループのスパイウェア「ペガサス」がサンチェス首相のスマホに忍び込み、盗聴(及び情報収集・遠隔操作)を行っていたのが2020年10月から2021年12月まで14ヶ月続いてたことがわかった。ホセ・ルイス・カラマ判事の命令書が明らかにした。命令書は15ページあり、そこから状況がわかる部分と、スペイン・モロッコ関係に対する疑問を生じさせる部分がある。
まず第一に、スマホがスパイされているのに気付くのがどうしてそんなに遅かったのかという疑問がわく。最初の攻撃は2020年10月13日におきていた。2021年12月27日までにさらに4回の攻撃が行われている。Forbidden Storiesがペガサス問題を暴露したのが2021年7月18日。その時スペインでは4人のスマホが侵入されていることが明らかにされ、その後200台に膨れあがった。どうしてその時、政府職員のスマホが検査されなかったのか。ラヤ元外相は2022年6月7日にモロッコに盗聴されていたことを明らかにした。実際に彼女のスマホが検査されたのは2021年の遅い春のことだった。
誰が犯人か。命令書はわからないと述べているが、サンチェス首相のスマホに対する最大の攻撃は2021年5月19日に起きており、2.57GBのデータが盗まれたと述べる。その2日前、1万人を越すモロッコ人がセウタになだれ込むという事件がおきていた。モロッコは事件の反応を見たかったということだろう。ペガサスはロブレス防相のスマホのデータベースを破壊するということまでやってのけている。(El Confidencial, 11 July 2023)
https://www.elconfidencial.com/espana/2023-07-11/movil-sanchez-espionaje-extranjero-pegasus_3693517/
サラマンカ大学、モロッコ・チェアを創設
サラマンカ大学はモロッコ政府が資金を提供するモロッコ・チェアによる講座を開設した。モロッコによるスペインのアカデミズムへの進出は初めてのことだ。講座の教授となるのはラシード・エル=フール(Rachid el Hour)氏は、これはまったく学術的なイニシャティブであり、運営は独立して行われ、どこからの干渉もないと言明する。同講座は年間€12,000の予算をもち、両国でビジネスを行う企業からの寄付も想定している。一方、モロッコには学問の自由がなく、今それは悪化の一途を辿っている。あるスペイン人研究者はモロッコの大学との協力関係をやめたという。同研究者によれば、「社会科学分野では自己検閲、自己管理があり、学術機関が嫌がるようなトピックは避けようとしている」。学長は王室の指名であり、教員の間には何かを自主的にやることへの恐れがある。大学院生は自由にテーマを選べず、問題が起きないよう教授がテーマを設定する。そのため海外に留学する学生も多い。エル=フール氏によれば、講座は西サハラ問題や移民の問題など難しい問題は避けることになりそうだ。(El Independiente, 15 July 2023)
https://www.elindependiente.com/espana/2023/07/15/la-universidad-de-salamanca-lanza-una-catedra-patrocinada-por-marruecos-es-perfecta-para-el-lobby-marroqui/
【フランス】
マクロン大統領はムハンマド6世をひどく罵った
イスラエルのNSOグループのスパイウェア、ペガサスを使ってモロッコがマクロン大統領のスマホを盗聴(及びスマホ内情報の抜き取り、カメラの遠隔操作)していた問題が発覚した後、マクロン大統領はムハンマド6世と電話会談を行い、そこで相当にひどい言葉を使って国王を罵ったという。フランス国籍をもつモロッコ人でパリに住み国王にも近い作家、ターハル・ベン=ジェッルーン(Ben Jelloun)(78才)がインタビューでそう語った。
電話会談は2021年夏のこと。国王は、モロッコの情報部はそういうこと(盗聴)はしない、それは自分のやり方ではない、などと弁明したが、マクロン大統領は言うに堪えない言葉遣いで国王を罵ったらしい。電話会談は一度ではなく、何度か行われた。最初、大統領は国王にフランス人に対するスマホ盗聴の実態について情報を収集するよう要求したが、国王が盗聴事件を否定し続けたため、最後には大統領も忍耐をなくしてしまった。
ペガサス事件は2019年7月に報道され、フランスでは大統領と首相以下14人の閣僚に加え、1,000人ほどの記者やモロッコ人亡命者が盗聴されていたとされている。フランスの国家情報公安庁がこれらのスマホをいくつか調査したところ、確かにペガサスに侵入されていたことが確認された。ペガサスの輸出についてはイスラエル政府の認可が必要だ。
この事態を受けて、フランスはイスラエル情報部との協力を停止し、二国間の訪問を取り止めるなどした。イスラエルの当時のガンツ防衛相、フルタ国家治安情報顧問、ラピド外相が相次いでパリに向かった(釈明のため)。ラピド外相はメディアに対して、イスラエルがモロッコへのペガサスの販売を許可したかどうか、肯定も否定もしなかったが、「フランスにはもてるすべての情報を渡した」というのだから、フランスはモロッコが顧客だったかどうかは確認したはずだ。だから、モロッコ側が否定してもフランス側は確信をもっていたと考えられる。
イスラエルはその後、ペガサスのモロッコとの契約更新を許可せず、また似たようなスパイウェアを売るQuaDreamのモロッコへの販売も許可しなかった。(El Confidencial, 4 June 2023)
https://www.elconfidencial.com/mundo/2023-06-04/macron-falta-respeto-rey-marruecos-pegasus_3658812/
元仏国連大使「モロッコはフランスを脅迫している」
フランスのジェラール・アロー元国連大使が流したツイッターにモロッコメディアが反応している。アロー氏はモロッコが西サハラをめぐりフランスを脅迫していると書いたのだ。モロッコはフランスが西サハラについて態度をはっきりさせるまで、仏議員のモロッコでの会議参加を取り止めた。アロー氏のツイートはこれについてのもので、「これは、米国の180度方向転換後、モロッコが西サハラについてやっているいつもの脅迫だ。安保理でモロッコを擁護してきたのはフランスだけなのに」と書いた。また、彼は「安保理でフランスと対立し、モロッコと闘ってきた米国は、トランプになって180度方針を転換した」とも書いた。モロッコのメディアは「フランスだけがモロッコを擁護してきたわけではない。フランスはモロッコから利益を得てきたからそうしただけだ」などと、氏のツイートを批判した。(Middle East Eye, 7 June 2023)
https://www.middleeasteye.net/fr/actu-et-enquetes/maroc-france-ambassadeur-araud-chantage-sahara-occidental-diplomatie
【ドイツ】
独伊、ガスパイプライン敷設に合意
6月8日、ショルツ首相とメローニ首相は両国の間にガスパイプラインを増設することに合意したと発表した。ロシアからのガス輸入が途絶えたため、先月ドイツ、イタリア、オーストリア3国は北アフリカと欧州を結ぶ新たなパイプライン敷設を支持する書簡に調印している。それは3,300kmに及ぶ長大なパイプラインとなる。(Reuters, 8 June 2023)
https://www.reuters.com/business/energy/germany-italy-support-new-hydrogen-ready-pipeline-project-2023-06-08/
【イスラエル】
西サハラに対するモロッコの主権承認はネゲヴ・フォーラムの開催が条件
イスラエルはモロッコの西サハラに対する主権を承認していないが、7月3日(月)、繰り返し延期されてきたネゲヴ・フォーラムの開催を条件とすると発表した。ネゲヴ・フォーラムは再々の延期を経て9月に開催されることになっている。(Reuters, 3 July 2023)
https://www.reuters.com/article/israel-morocco-westernsahara-idAFL8N38P1PX
イスラエル、モロッコの西サハラへの主権を承認
7月17日,イスラエルはモロッコの西サハラに対する主権を認めた。モロッコ政府がそう発表した。また、イスラエルはダーフラに領事館を開設するつもりだという。(17 July 2023)
https://www.aljazeera.com/news/2023/7/17/israel-recognises-western-sahara-as-part-of-morocco
モロッコに戦車を販売
イスラエルはモロッコに戦車メルカバを販売することを明らかにした。台数は公表されていない。もし販売されれば、モロッコはメルカバを最初に購入する外国政府ということになる。(Defense Post, 6 July 2023)
https://www.thedefensepost.com/2023/07/06/morocco-merkava-tanks-israel/
【ノルウェー】
ノルウェーで莫大な埋蔵リン鉱石発見
2021年に米国地質調査が評価したところでは世界のリン鉱石埋蔵量は710億トンだが、ノルウェーで700億トンと推計される埋蔵リン鉱石が発見された。これは今後100年間、世界の肥料、太陽光パネル、電気自動車電池の需要をみたすほどの量だ。知られる限り、最大のリン鉱石埋蔵量を誇るのは西サハラで、500億トンとされる。次に多い埋蔵量を誇るのは中国で32億トン、そしてエジプト28億トン、アルジェリア22億トンとなっている。現在採掘されているリン鉱石の90%は肥料用で、今のところそれを代替できるものはない。ノルウェーの埋蔵リン鉱石は地下300メートルあたりから4500メートルに及んでいる。しかし、現在それほど深く掘る技術はない。せいぜい1500メートルまでだ。つまり埋蔵量の1/3しか掘れないということ。また、同じ鉱脈にはバナジウムとチタニウムが含まれている。すでに試掘段階は終わり、次は事業化の段階となる。ただ、EUの認可が下り最初の商業生産までこぎ着けるのに10年から15年かかると考えられる。(Euroactiv, 29 June 2023)
https://www.euractiv.com/section/energy-environment/news/great-news-eu-hails-discovery-of-massive-phosphate-rock-deposit-in-norway/
【EU】
西サハラ産リン鉱石輸入は違法
3月末、欧州議会議員(スペイン選出)のプッチダモン氏らが西サハラ産リン鉱石の欧州への輸入の法的地位を質問していたが、7月初旬に欧州委員会が貿易コミッショナーであるヴァルディス・ドモブロウスキス氏(ラトビア)を通じて回答を行った。(西サハラ友の会通信 No. 34「プッチダモン氏、西サハラリン鉱石の輸入を批判」を参照)回答は、EUは西サハラ産リン鉱石を輸入しないというものだった。(Africa Intelligence, 18 July 2023)
https://www.africaintelligence.fr/afrique-du-nord/2023/07/18/la-commission-europeenne-botte-en-touche-sur-les-phosphates-marocains,110004536-gra
EUモロッコ漁業協定の議定書、7月17日に失効
EU裁判所で争われていてまだ最終審が終わっていないEUモロッコ漁業協定の議定書が7月17日(月)に失効する。これによってEU各国の漁船は当分モロッコ海域及び西サハラ海域での漁業ができなくなる。(DW, 16 July 2023)
https://www.dw.com/en/morocco-eu-fisheries-deal-set-to-expire/a-66244799
【アフリカ】
アフリカサッカー連盟、西サハラ加盟を拒否
アルジェリアサッカー協会のジャヒード・ゼフィーゼフ(Djahid Zefizef)会長は、2022年8月、アルーシャのアフリカサッカー連盟会議で、西サハラの加盟を可能にするため、連盟(会長は南アフリカのパトリス・モツェペ)の「加盟資格は国連によって承認された国に限る」とするルールの変更を提案していたが、否決された。これによって西サハラの連盟加盟はできなくなった。この国連加盟国条項は、2021年3月、ラバトで行われた連盟の会議で、モロッコサッカー協会会長のファウズィー・レクジャア(Fauzi Lekjaa)の提案で決まったものだった。ルールの変更には3/4の賛成が必要だが、連盟に加盟する44ヶ国のサッカー協会はモロッコサッカー協会と協定を結んでおり、アルジェリアよりもモロッコの方がはるかに影響力を持っていた。
西サハラのナショナルチーム(愛称はヒトコブラクダ Los Dromedarios)は5月20日、アルジェのネルソン・マンデラスタジアムでMCアルジェと友好試合を行った。結果は6対1で負けた。西サハラチームはこれまでアルジェリア、スペイン、フランス、アルメニアのクラブと試合をしてきた。また、非公式にはクルディスタン、ガリシア、ダルフール、チベットのチームとも一戦を交えた。1988年以来行った試合は合計19回に及ぶ。(Africa Intelligence, 12 June 2023)
https://www.africaintelligence.fr/afrique-du-nord/2023/06/12/la-caf-refuse-l-adhesion-de-la-federation-sahraouie-de-football,109992396-art
【国連】
グテーレス事務総長、西サハラに言及
パリを訪問中のグテーレス国連事務総長は、大学生との対話集会で西サハラの状況は「不幸なことにブロックされている」と発言した。対話集会で司会を務めたのは、元スペイン外相で今はその大学の学部長を務めるアランチャ・ゴンサレス・ラヤ氏だった。(EFE/Swissinfo, 22 June 2023)
https://www.swissinfo.ch/spa/onu-s%C3%A1hara-occidental_guterres–sobre-el-sahara-occidental—la-situaci%C3%B3n-sigue-desafortunadamente-bloqueada-/48613134
以上。