西サハラ友の会通信 No. 29

2022年11月分のニュースをお届けします。スペインに続き、ドイツ、ベルギーもモロッコの西サハラ自治案支持に切り替わってきています。ただ、スペイン国内では政府の西サハラに関する「裏切り」とも言える政策転換に異を唱え、モロッコのあり方を問題視する論調が強くなっているようです。

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目次 No. 29

【歴史】
・CIA機密文書「スペインは緑の行進を承知していた」

【西サハラ/解放区】
・モロッコのドローン攻撃で3人死亡

【西サハラ/占領地】
・ダーフラで漁師たちが抗議

【モロッコ】
・国王、アルジェリア大統領を招待
・カンベロ記者を裁判に訴える(4度目)
・元大臣を投獄
・亡命モロッコ人ジャーナリスト、ヒカーム・マンスーリ

【アルジェリア】
・ロシアとの共同軍事演習
・米国大使の記者会見

【ドイツ】
・西サハラ自治案を支持に転換か?

【スペイン】
・セウタに「地域的税関」を置く?
・ジブラルタル海峡トンネル事業、再開か?
・ガーリー氏裁判文書、アーカイブに
・国会、サハラーウィ難民キャンプに700万ユーロ
・スペイン・メディア、モロッコの拡大的主張に反発

【国際社会】
・ベルギー外相、自治案支持で批判を受ける
・ユネスコのモロッコ人職員、ペガサス問題で解雇
・EU、モロッコのオリーブ栽培を支援
・グテーレス国連事務総長、ムハンマド6世と西サハラについて話し合う

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【歴史】
CIA機密文書「スペインは緑の行進を承知していた」
93万通の公開された機密文書の中に、1975年当時、スペインのフアン・カルロス王子と国家元首を代行していた軍司令官、そしてモロッコのハサン2世が西サハラの将来について交渉した経緯を記したものが見つかった。それらの文書によると、緑の行進はスペインに対するデモ行進ではなく、3者の合意の結果だったことがわかった。カルロス王子はウェルズ・スラブラー米大使に対して「行進は国境から数マイルだけ中に入り、スペイン軍がいない周辺部にしばらく滞在するだけだ」と語っている。また王子は「50人程度のモロッコ人からなる派遣団がエル=アイウンに入る権利をもつ」とも述べている。さらにこれらの機密文書によると、行進が入れない地区は「地雷原」と印がつけられ、スペイン軍はモロッコ人がその線を越えて入ってこないようあらゆる手段を使うことが命じられていた。それからしばらくたった11月14日、モロッコ、スペイン、モーリタニアの間でマドリッド協定が締結されたのであった。(ObservAlgérie, 6 Nov. 2022)
https://observalgerie.com/2022/11/06/politique/sahara-occidental-cia-accord-maroc-espagne/

【西サハラ/解放区】
モロッコのドローン攻撃で3人死亡
モーリタニアの治安情報筋によると、11月2日(火)、西サハラの南東地区で金を探索していた3人のモーリタニア人が空からの爆撃で死亡した。同筋によると、モーリタニアとの国境に近いグレイバート・エル=フーラ(Gleibat El Foula)というところでモロッコ軍のドローンからの銃撃にあったものと思われる。数千人のモーリタニア人が国の北部で金を採ろうと活動しており、当局の警告にもかかわらず、越境して西サハラの中に入ってしまう者がいる。ポリサリオ戦線はそこを解放区と呼び、国連は緩衝地帯(非軍事化されなければならない)としている。(Publico, 3 Nov. 2022)
https://www.publico.es/internacional/mueren-tres-mineros-mauritanos-ataque-aereo-sahara-occidental.html

【西サハラ/占領地】
ダーフラで漁師たちが抗議
ダーフラで400人余りのモロッコ人漁師がデモを行っている。何人かはハンガーストライキをしている。要求は、認可と漁業のライセンスが欲しいというもの。ハンガーストライキを始めた35人中5人が低糖症になり、1人が病院に運ばれたと、デモ組織者は言った。ワリ(知事)が間に入り、農水省に取り次ぐと言ったため、ハンガーストライキは一時中断されたが、要求に対する政府の回答がないため、抗議は再開された。再開後7日目になる。漁師たちによれば、昨年8月から(コロナのため?)強制的休業を余儀なくされており、400人の沿岸漁業者はタコ漁などのライセンスを他人から借りて操業してきた。2018年の省令で、すべての船は位置情報を確認する機器を搭載しなければならなくなり、ライセンスの所有者はライセンスを引き揚げ、船を新しくするなどした。その結果、漁業者は取り置かれたという。(Swissinfo/EFE, 20 Nov. 2022)
https://www.swissinfo.ch/spa/marruecos-sahara_cumplen-70-d%C3%ADas-de-protestas-pescadores-artesanales-en-el-s%C3%A1hara-occidental/48073070

【モロッコ】
国王、アルジェリア大統領を招待
ムハンマド6世がアルジェリアのテブン大統領を招待する意志があることを、ブリタ外相が明らかにした。11月1日・2日、アルジェリアで開催されたアラブ連盟の会議にムハンマド6世は招待されていたが、出席を見合わせた。理由は、再々の要請にもかかわらず、首脳レベルでの二国間会議がセットされなかったことだ。ブリタ外相は、アルジェリアのラマムラ外相が述べた首脳たちを空港の貴賓室で迎えるというやり方は「両国関係を考えると普通でない」、「空港の貴賓室ですませることはできない。会談の成功のためには両国の準備やコミットメントが必要だ」などと苦言を呈した。アルジェリアは2021年8月にモロッコと断交している。ブリタ外相はまた、断交以来国王は3度アルジェリアに手を差し伸べたが、アルジェリアからは反応がない、とも述べた。(La Vanguardia, 2 Nov. 2022)
https://www.lavanguardia.com/internacional/20221102/8590519/rey-marruecos-invita-presidente-argelia-dialogo-rabat.html

カンベロ記者を裁判に訴える(4度目)
エル・コンフィデンシャル紙のマグレブ地方を専門とするベテラン記者、イグナチオ・カンベロ氏をモロッコがスペインの裁判所に訴えた。モロッコが彼を訴えるのは4度目。今回は、モロッコが彼の携帯にペガサススパイウェアで侵入したと彼が書いたことを根拠なき中傷であるとして訴えた。11月24日(木)に最初のヒアリングがマドリッドの裁判所で行われる。過去の裁判はいずれもモロッコの失敗に終わっている。今回の裁判のモロッコ側弁護士はエルネスト・ディアス・バスティエン(Ernest Díaz-Bastién)という、イギリスで引き渡されそうになったときのピノチェトや、シリア人の武器・麻薬ブローカーのモンゼル・アル・カッサール(Monzer Al Kassar)を弁護した弁護士である。アル・カッサルは2008年以来アメリカで30年に刑に服している。ただ、この弁護士は1995年にイタリア船のハイジャック事件でアル・カッサルを弁護し、無罪を勝ち取ったことがあった。その後、この弁護士とアル・カッサルは貿易会社を共同で設立している。(Publico, 21 Nov. 2022)
https://www.publico.es/internacional/marruecos-lleva-tribunales-cuarta-vez-periodista-ignacio-cembrero-victima-espionaje-pegasus.html/amp

元大臣を投獄
モロッコの弁護士で元大臣、今や反体制派のムハンマド・ズィヤーン(Mohamed Ziane)氏(80才)は10月、ムハンマド6世国王に退位を求めたことから、裁判にかけられていた。11月21日(月)、控訴審で3年の一審判決が維持され、即日事務所にいた彼は連行されて、投獄された。彼に対して判決の通知はなかった。罪状は公務員及び司法を非難した、憲法的機関を侮辱した、中傷、不倫、セクハラと並んでいる。この間、出国を禁じられていた。彼は、国王が長く不在であることを批判していた。(El Independiente, 22 Nov. 2022)
https://www.elindependiente.com/internacional/2022/11/22/marruecos-encarcela-al-ex-ministro-mohamed-ziane-tras-pedir-la-abdicacion-de-mohamed-vi/

亡命モロッコ人ジャーナリスト、ヒカーム・マンスーリ
フランスのメディアが亡命モロッコ人ジャーナリストのヒシャーム・マンスーリー(Hicham Mansouri)氏をインタビューした。彼は、諜報局の策謀によって、服を脱がされ、すでに結婚している女性と自分のベッドに寝かされ、写真を撮られて、不倫で裁判にかけられ、有罪判決を受けたという。体制はセックス、お金、アルコールなどを使って、標的にした者の家族生活、社会生活、プロフェッショナルとしての生活を破壊する、と語る。
ヒシャーム氏は、西サハラのグデイム・イジーク政治囚たちと獄中で一緒だった。中でもナアマ・アスファーリーは固い意志で尊敬を勝ち得ていたという。ヒシャーム氏はベドゥイン出身でハッサニーヤ(アラビア語の方言)をしゃべるので彼らとはコミュニケーションができた。お茶を供されたのが始まりで、彼はフランス語を教えたり、読書会をやったりした。彼は「サハラーウィをすごく尊敬している」という。彼らがいうことはそのまま信用していい。なぜなら、彼らにとって言葉への尊敬は当然のことであり、名誉を重んじる人たちなのだ。彼らの置かれた境遇は厳しく、刑も重い。しかし、いつも他人を思いやり、お互いを助け合っている。(La Patrie News, 24 Nov. 2022)
https://lapatrienews.dz/entretien-hicham-mansouri-journaliste-marocain-refugie-en-france-il-ny-a-pas-de-changement-dans-ladn-du-regime-marocain/

【アルジェリア】
ロシアとの共同軍事演習
11月16日(水)、ロシア軍とアルジェリア軍はモロッコとの国境に近いベシャール州でテロ対策としての共同軍事演習を行った。そこは60年前、アルジェリアとモロッコが独立後に戦った「砂の戦争」の戦場となったところだ。2023年、アルジェリアの軍事費はGDP比12%に達する(2022年から130%増)と見積もられており、モロッコもGDP比5%になるもようだ。ロシアは昨年北オセチアで共同演習を行い、2ヶ月前にはロシアの極東・日本海での演習にアルジェリアが参加した。(El Pais, 17 Nov. 2022)
https://elpais.com/internacional/2022-11-17/rusia-emprende-en-la-frontera-marroqui-las-primeras-maniobras-militares-con-argelia.html

米国大使の記者会見
11月21日(月)エリザベス・ムーア・オービン(Elisabeth Moore Aubin)在アルジェリア米国大使は記者会見で、両国の関係について以下のように述べた。まず報道の自由について、「情報の自由な流れを促進するためこの種の努力は重要だと信ずる」と述べた。また、経済活動については投資家が安心する環境が必要だ、特に配当の転送の安全性が必要だと注文を付けた。ニューヨーク・アルジェ間の直行便が現在交渉中で、実現すれば経済効果が見込める。最近米議会でアルジェリアへの制裁を求める声が高まったいることについて、大使は上下院535人の議員のうち28名が署名したに過ぎないと述べた。アルジェリアがロシアの武器を買っていることについては、武器購入先を「多角化」するよう申し入れていると述べた。
西サハラについては、米国とアルジェリアは国連主導下での解決が必要だという点では意見を同じくしている、米国は国連主導の政治的解決を望んでいると述べた。パレスチナ問題については、二国解決を支持する点で米国とアルジェリアは同じであり、アルジェリアがパレスチナの政治勢力の対話を仲介する努力をしていることを高く評価した。(TSA, 21 Nov. 2022)
https://js.tsa-algerie.com/algerie-etats-unis-lambassadrice-aubin-dit-tout/

【ドイツ】
西サハラ自治案を支持に転換か?
ドイツもモロッコの西サハラ自治案を支持するという方向に舵を切ったことが、左翼党国会議員のセフィム・ダックデレン(Sevim Dagdelen)議員の質問書に対する書面での政府回答で明らかとなった。メルケル政権時代、ドイツは国連決議のいう「国際人道法、人権法を尊重する」、「すべての当事者に受け入れられる、公正で、実際的、永続的な解決」を主張していたが、今回の転換はモロッコ寄りとなるものだ。モロッコは、公的機関にラバトのドイツ大使館を始めドイツ政府を代表する機関と連絡を絶つよう指示を出すなどして圧力をかけていた。(Telepolis, 28 Nov. 2022)
https://www.heise.de/tp/features/Westsahara-Neokoloniale-Wende-in-der-deutschen-Aussenpolitik-7357844.html

【スペイン】
セウタに「地域的税関」を置く?
スペインとモロッコはセウタに「地域的税関」という他に類をみない税関を置く計画である。とはいえ誰もそのことを公に認めようとしない。アルバレス外相は9月21日、2023年1月には秩序だった方法で陸境の税関を通じて物流が行われることになると述べた。それがどことは言わなかったが。メリリャの税関は2018年8月に閉じて以来再開していない。セウタには税関はもともとなく、政府は「地域的性格」の税関をオープンするつもりだという。3,500kgの積荷を上限としてバン等の車は許されるが、トラックはだめだという。施設は300平米しかなく、51万ユーロの建設費が見込まれる。モロッコ側の報道によれば、セウタの税関は「地域的」なもので、スペイン、欧州、中国からの品物はモロッコに持ち込むことができない。そういうものはタンジェ港からしか輸入できない。ということは、セウタからモロッコに入る物は一体何なのか。セウタでの生産品などゼロに等しいのに。(El Confidencial, 5 Nov. 2022)
https://www.elconfidencial.com/espana/2022-11-05/marruecos-impone-ceuta-aduana-regional-fuertes-restrricciones-mercancias_3518328/

ジブラルタル海峡トンネル事業、再開か?
11月3日(木)、モロッコ政府はジブラルタル海峡研究公社の社長であるアブドゥルカビール・ザフード(Abdel Kabir Zahoud)を施設・水道省付きに任命した。この任命は、モロッコとスペインを結ぶトンネル事業への関心が高まっていることを意味している。スペイン側では、2021年にジブラルタル海峡道路研究社(Segecsa)がEUからの補助金を得ている。ジブラルタルの海底トンネル構想は全長42km、海面下の部分が27.8kmある。イギリスもそのジブラルタルを通じてモロッコとの貿易関係を強化したいという思惑をもつ。(La Razon, 4 Nov. 2022)
https://www.larazon.es/economia/20221104/4prjc3ofk5d3lgjjdxzled3oqa.html

ガーリー氏裁判文書、アーカイブに
全国管区裁判所のサンティアゴ・ペドラス判事は、ポリサリオ戦線書記長ガーリー氏が行ったとされる拷問に関する告訴関連の文書をアーカイブに保存することを明らかにした。これは本事件の終了を意味する。判事の指令書には「かかる犯罪が行われたとして出された事実に犯罪性を合理的に示唆するものはなかった」と述べている。(Publico, 21 Nov. 2022)
https://www.publico.es/politica/audiencia-nacional-archiva-querella-ghali-frente-polisario-presuntas-torturas.html

国会、サハラーウィ難民キャンプに700万ユーロ
スペイン国会は11月22日(火)、2023年度予算案の審議にあたり、チンドゥーフの難民キャンプの維持・インフラ整備のためUNHCRに700万ドル拠出することを追加で決定した。その際、与党の社会労働党(PSOE)は反対した。難民キャンプのための拠出はバスク民族主義党(PNV)が提起した。社会労働党は、西サハラ問題への立場を大転換した際、人道援助は減らさないと言っていたが、火曜日の投票行動はそれを裏切るかたちになった。(El Independiente, 23 Nov. 2022)
https://www.elindependiente.com/espana/2022/11/23/el-congreso-aprueba-7-millones-de-euros-para-los-campamentos-saharauis-con-el-no-del-psoe-y-erc/

スペイン・メディア、モロッコの拡大的主張に反発
政府がモロッコの西サハラ自治案を「ベストな解決」と持ち上げ、飛び地のセウタやメリリャについても与党社会労働党内部でモロッコに引き渡す意見が勢いを増している一方で、モロッコの領土領海に対する主張が一向に矛先を収めない状況に、スペイン・メディアが反発している。モロッコは西サハラ、セウタ、メリリャ、そしてカナリア諸島を自国の領土にしたがっているが、加えてチャファリナス諸島(Chafarinas)、アルボラン島(Alborán)、ペレイル島(Perejil)、アルフセマス島・岩礁(Alhucemas)ヴェレス・デ・ラ・ゴメラ岩礁(Vélez de la Gomera)へのアクセスを制限しようとしている。(注:アルボラン島はスペインとモロッコの中間に位置し、その他の島・岩礁はモロッコの沿岸のすぐそばにある。)
サンチェス首相とムハンマド6世が4月7日に調印したロードマップの項目6に、大西洋岸の海域の境界線交渉を再開するとある。それから両国政府のテクニカルスタッフの会議が少なくとも2回行われている。両国とも海洋法国際法廷に訴える前に、交渉で解決したい意向だ。モロッコは2020年に2つの法律を発布し、領海と排他的経済水域を定めた。それは境界線の線引きにあいまいさを残しているスペインの岩礁・島嶼に関する法律の真空地帯を利用したものだった。専門家は、モロッコがモロッコ沿岸の島・岩礁をめぐって圧力をかけているのは、カナリア諸島と西サハラの海域をめぐる交渉を有利に進めようという戦略の一環だろうと考えている。もとより、モロッコはこえらの海域をスペイン領と認めていない。
モロッコはアルフセマス岩礁のあるアル=ホセイマ湾を自国の主権が完全に及ぶ領海だとみなしており、湾を閉鎖してしまった。港にアクセスする手続きが存在しているにも関わらずである。船とヘリコプターがアクセスできる回廊は認められ、受け入れられているが、モロッコはスペインがそれを権利として保持しているとは認めてない。
最近、メリリャに接するモロッコのナドール州評議会のサイード・ラフムーニー議長がマドリッドを訪問し、メリリャとの近隣協定を終わらせようとしたことがあった。ラフムニ議長は「先進的地域化(regionalización avanzada)」に向けて連携を強めたいという。この「先進的地域化」という用語はムハンマド6世が西サハラを「南部諸州」として併合する際に用いたものだ。つまり、モロッコは南部で使った方式を北部にも適用しようとしているのである。(El Español, 27 Nov. 2022)
https://www.elespanol.com/espana/20221127/marruecos-presiona-espana-soberania-proximos-ceuta-melilla/720927926_0.html

【国際社会】
ベルギー外相、自治案支持で批判を受ける
ハジャ・ラビブベルギー外相は10月20-21日にモロッコを訪れた際、モロッコの西サハラ自治案を「真面目で信頼できる努力であり、解決に至るよき基礎となる」などと評したことで、ベルギーの大学教授たちから批判を受けた。外相はそれに対して、ベルギーの立場は国連が主導するプロセスを支持するものだと釈明した。大学教授たちはル・ソワール紙に、外相の言い方は事実上自決権を否定するものだといった批判の手紙を発表していた。(Swissinfo/EFE, 4 Nov. 2022)
https://www.swissinfo.ch/spa/belgica-s%C3%A1hara-occidental_ministra-belga-aclara-su-posici%C3%B3n-sobre-el-sahara-occidental-tras-pol%C3%A9mica/48032348

ユネスコのモロッコ人職員、ペガサス問題で解雇
当会通信No. 28で取り上げたユネスコのモロッコ人職員のペガサススパイウェア問題に絡む内部調査は、一群の徴候(faisceau d’indices)をもとに、同職員の解雇に帰結した。この職員、ワファー・B(Ouafae B.)は、ユネスコとFreedom Voices Networkとの契約について情報を漏洩させたという。2021年にペガサス問題を暴露したのはこの団体だった。解雇は9月13日に行われた。しかし、「ワファー・B事件」はユネスコの中でもまだくすぶっている。職員組合のマリー・モネ代表は10月12日、第215回執行部会でユネスコが物的証拠もないまま当人を解雇したことに警告を発した。(Africa Intelligence, 8 Nov. 2022)
https://www.africaintelligence.fr/afrique-du-nord/2022/11/08/affaire-pegasus–le-licenciement-d-une-fonctionnaire-marocaine-agite-l-unesco,109841994-art

EU、モロッコのオリーブ栽培を支援
EUは新たに60万本のオリーブの木を植えるモロッコの計画に1億1,500万ユーロを支援する。これは不作に苦しむスペインのオリーブ栽培農家にとってはさらなる悪い知らせだ。昨年150万トンあった生産量は、今年50%減の78万トンに落ち込んだ。今後スペインだけではなく、イタリア、ポルトガル、ギリシャのオリーブ栽培も競争にさらされる。昨年(2021/2022年)、モロッコは20万トンのオリーブオイルと13万トンの食用オリーブを生産し、今や世界で6番目のオリーブ生産国となっている。2022年の最初の8ヶ月、モロッコ産オリーブの輸出は前年比倍加した。貿易額は47%増。モロッコ産オリーブオイルを購入しているのは主にEU諸国で量で220%増、額で260%増となっている。スペインの青年農業者協会(ASAJA)のアンダルシア州ハエン県の農家は、われわれが不作で苦しんでいる時に、われわれの税金でモロッコにオリーブの木を植え、われわれと競争させるという政策は理解できないと言って、反対を唱えている。(La Informacion, 20 Nov. 2022)
https://www.lainformacion.com/economia-negocios-y-finanzas/marruecos-aprovecha-dinero-europa-competir-espana-aceituna-aceite-oliva/2877030/

グテーレス国連事務総長、ムハンマド6世と西サハラについて話し合う
11月23日(水)、モロッコのフェズで行われた「文明の国際連合同盟(UNAOC)」に参加するためモロッコを訪問していたグテーレス国連事務総長はムハンマド6世と会談し、西サハラ問題を話し合った。国連の発表は内容に踏み込まず、モロッコ側の発表はモロッコの自治案を説明したというだけで、具体的な話し合いの中身はわからない。(Le Figaro, 23 Nov. 2022)
https://www.lefigaro.fr/flash-actu/sahara-occidental-entretien-entre-le-roi-du-maroc-et-le-chef-de-l-onu-20221123

以上。