西サハラのTICAD8参加について 〜アフリカ連合(AU)の全加盟国参加原則と日本の対応

2022年9月26日
西サハラ友の会

はじめに

TICAD8(第8回アフリカ開発会議)が2022年8月27日・28日、チュニジアの首都チュニスで開催された。日本政府は当初よりサハラ・アラブ民主共和国(RASD:英語略記はSADR、以下SADRと表記)代表団を招待しない方針であり、今回も招待しないと言明していたが、アフリカ連合委員会(AUC)がアフリカ連合(AU)閣僚執行理事会の決議に基づきすべての加盟国に招待状を送り、AUC議長が個別にSADR大統領宛に招待状を送ったことで、ブラーヒーム・ガーリー大統領率いるSADR代表団はTICAD8に参加することができた。8月27日、ホスト国チュニジアのサイード大統領が空港でガーリー大統領を出迎え、空港貴賓室で会談した。これを知ったモロッコはチュニジアに対する抗議としてTICAD8への出席を取り止め、チュニジア大使を召還した。対抗措置としてチュニジアもモロッコ大使を召還した。以後、チュニジア・モロッコ外交関係は危機に陥っている。
SADR招待問題はTICAD8が初めてではない。TICADがAUCを新しく共催者に迎えたのはTICAD5(2013年6月、於横浜)の準備を進めていた2010年であった 。
AU側では、2015年のジョハネスバーグでの第27回通常閣僚執行評議会が、AUがステークホルダーとなる会議への全加盟国の参加の権利を確認した。その時の閣僚執行理事会決定 EX.CL/Dec.877 (XXVII)のC(多国間協力)の10は、「AUがステークホルダーとなるパートナーシップ枠組において行われるすべての会議、活動、イベントにすべてのAU加盟国が差別なく参加する権利を確認する」と述べている 。以来AUは全加盟国参加原則を強く主張するようになった。背景には、植民地主義によって分断されたアフリカ諸国が独立後も先進国の都合で分断を余儀なくされている状況を克服しようとする団結の精神があった。

 


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