モロッコ軍、西サハラ解放区内走行中のアルジェリアの民間トラックを砲撃、3人死亡
11月1日、アルジェリアの民間トラック2台が砲撃を受け、トラックは大破し、乗っていた3人のアルジェリア人が死亡した。場所は、モーリタニア領内のアイン・ベンチーリー(Aïn Ben Tili)と西サハラ解放区内のビル・ラフルー(Bir Lahlou)の間で、解放区内を走行中であったとされる。トラックはモーリタニアのヌアクショットを出発し、アルジェリアのウァルガラ(Ouargla)に向かっていた。
アルジェリア通信社によると、アルジェリア政府はモロッコ軍が「洗練された兵器」で攻撃したとモロッコを非難している。(APS, 3 November 2021)
一方、モロッコの報道機関は、モーリタニア軍が、モロッコがアルジェリアのトラックをモーリタニア北部で攻撃したというのは間違った情報であるとの声明を発表した。(Morocco World News, 2 November 2021)
現時点で、モロッコ政府からの声明はまだ発表されていないもようである。
大破したトラックの様子が動画に映され、YouTubeにあがっている。状況からドローンによる精密砲撃(precision strike)の可能性もあり、そう書いているネット情報も散見される。ただ、ドローンかどうかはまだはっきりしない。アルジェリア政府もそこまではっきりとは述べていない。(YouTube, 2 November 2021)
背景情報
昨年11月、モロッコ軍が緩衝地帯へ侵入し、サハラーウィデモグループを強制排除した事件を受け、ポリサリオ戦線は1991年停戦協定を破棄し、モロッコに対する砲撃を行った。モロッコ側も応酬しているようで、両者による軍事攻撃が散発的ながら続いている。
今年4月6日、モロッコ軍のドローンと戦闘機の連携により、ポリサリオ戦線のアッダーフ・エル=ベンディール憲兵隊長(al-Dah el Bendir、65才)が爆撃で殺害された。モロッコ軍がもっているドローンはそれ自身が爆撃能力をもたず、標的探知を行って情報を戦闘機にリレーするタイプである。
今年8月24日、アルジェリアはモロッコと断交した。以後、緊張が続いてきたが、軍事的な衝突に発展することはなかった。
10月29日、国連安保理は西サハラミッション(MINURSO)の任期を延長する決議を採択した。決議には紛争解決に向けた具体的な措置もみられず、MINURSOの人権監視機能も追加されなかったため、ポリサリオ戦線はこれを厳しく非難した。
【参考ニュース】
APS: Three Algerian nationals cowardly murdered on Nuakchott-Ouargla road, 3 November 2021
https://www.aps.dz/en/algeria/41515-three-algerian-nationals-cowardly-murdered-on-nouakchott-ouargla-road
Morocco World News: Mauritania Army Denies Fake News Accusing Morocco of Attacking Algerian Trucks, 2 November 2021
https://www.moroccoworldnews.com/2021/11/345313/mauritania-army-denies-fake-news-accusing-morocco-of-attacking-algerian-trucks
YouTube: un drone marocain bombarde deux camions algériens, 2 November 2021
https://www.youtube.com/watch?v=LvdmiOlN3HI