西サハラ友の会通信 No. 15

カナリア諸島のラス・パルマス島(スペイン)

 この通信を出そうとしたところで、現地時間25日(火)夜、アイルランド議会がイスラエルのパレスチナ占領を「併合」と認知するという動議を採択したというニュースを発見しました。EU諸国の中では初めてで、政府もこの動議に賛意を示しており、今後イスラエルに対して相当に強い姿勢で臨むことになると思われます。そうすると、モロッコの西サハラ占領ももはや「併合」ということになるのかも知れません。
 今号のハイライトは以下の通りです。

●セウタの難民危機
●モロッコの対スペイン・ドイツ、強気の外交

【米国のモロッコ主権承認】
 前号で、ブリンケン米国務長官がモロッコの西サハラに対する主権を認めたトランプ大統領の決定を変更しないとモロッコ外相に電話で伝えたことをイスラエルのメディアが報じたと書いた。しかし、その後、米国務省の匿名の関係者がその報道を否定した。5月4日、その関係者はバイデン政権はこの問題についてまだ決定しないと米国のアラビア語衛星放送チャネル(Alhurra)に語った。(Middle East Monitor, 5 May 2021)
https://www.middleeastmonitor.com/20210505-us-state-department-biden-did-not-take-decision-on-western-sahara/amp/

【スペイン】

  1. ・セウタの大量移民流入問題
     セウタ(Ceuta)はジブラルタル海峡のアフリカ大陸側にある住民約8万人のスペイン領の飛び地で、モロッコとは高いフェンスで分けられている。モロッコ人を始めとしたアフリカ大陸からのヨーロッパへの不法移民の流入ポイントになっており、1,100人強のスペインの国境警備隊が常駐している。5月17日(月)から18日(火)にかけて、約8千人の移住希望者がモロッコ側から泳いで、あるいは浅瀬を歩いて、セウタ南部のタラジャル(Tarajal)の海岸に到着するという、これまでになかった事件が発生した。その中には約1,500人の子どももいた。スペイン政府は急遽応援部隊200人・警察200人を派遣して、対応に当たらせ、週末までに3分の2を帰還させた。北アフリカのもう一つのスペインの飛び地、メリジャ(Melilla)にも18日(火)86人のサハラ以南のアフリカ人の移民が押し寄せるという事件があった。(BBC, 18-19 May 2021)
     BBCの動画では、モロッコ側の国境警備がフェンスの門を開けっぱなしにして、人びとがセウタ側に入るのを放置している様子が映し出されている。同じBBCの動画で、ある女性の移民希望者は、セウタに近い町、テトゥアン(Tetouan)には何もない、セウタは観光の町だ、生きるか死ぬかわからないが不法に渡ってくるしかないと語っている。また、若い男性は、モロッコには仕事がない、自分を救うためには移住するしかない、などと語っている(BBC, 19 May 2021)。もともとモロッコでは就労機会が少なく、若者の移住願望は強いと言われる。コロナ渦にあってますますそうなっていると考えられるが、セウタの周辺であるリフ地方はとくにモロッコ政府の差別・弾圧を受けている地方であり、開発が遅れている。今回、このリフ問題はほとんど報道されていない。
     スペインのメディア「アンテナ3」によると、モロッコの諜報部員が移民に紛れてセウタに入り込んだという。彼らはスペイン側警備員がどのようなテクニックを使っているかを見るというのが目的だとされる。また、セウタの移民収容施設は満杯のため、以前からいた子ども200人をスペイン本土の各州に分散して預けることになった。マドリッド市だけはそれを拒否している。この事業のため政府は5億ユーロの補助金を配分する。(Antena 3, 25 May 2021)
     モロッコが意図的に移民をセウタに流入させている理由は、スペインがブラーヒーム・ガーリーポリサリオ戦線書記長が新型コロナ治療のためスペイン国内の病院に入院することを認めたことに対する反発からである。ガーリー氏はまずアルジェリアの病院に入院したが、その後スペインに移送された。モロッコはこのことでスペインを激しく非難し、米国に追随してモロッコの西サハラに対する主権を認めるよう、圧力をかけていた。
     EUレベルでもモロッコの行動は反発を招いている。スペイン国営ラジオ放送(5月19日)によると、マルガリティス・シナス欧州委員会副委員長は、「ヨーロッパは移民問題では圧力に屈しない。EUを脅迫することはできない」とモロッコを非難した。そしてスペイン外相に対して「セウタの国境はヨーロッパの国境であり、スペイン政府に対してあらゆる援助を惜しまない」と伝えた。(シナス氏はギリシャ人、妻はスペイン人。所属政党は新民主党[中道右派]。)
     EU外務・安全保障政策上級代表のジョセップ・ボレル氏(元スペイン外相)は、5月20日モロッコのブリタ外相と会談し、「率直な議論」を行った。ただ、EUのモロッコへの援助を凍結するというような話はしなかったという。しかし、EU側はスペインの国境維持にEUは連帯して動くし、このようなことが繰り返されればモロッコへの資金援助に影響を与えるだろうと警告を発したようだ。また、欧州国境沿岸警備機関(Frontex)はこれを機に現状の対策では不十分であることを訴えている。同機関はスペインの国境警備への支援を申し入れていたが、それを断ってきたのはスペインだった。
    https://www.bbc.com/news/world-europe-57150051
    https://elpais.com/espana/2021-05-22/bruselas-somete-a-revision-las-relaciones-con-marruecos-tras-el-incidente-de-ceuta.html

    https://www.rtve.es/noticias/20210519/bruselas-advierte-marruecos-chantaje-inmigracion-ceuta/2090950.shtml
    https://www.antena3.com/noticias/espana/agentes-inteligencia-marruecos-infiltraron-migrantes-que-entraron-ceuta_2021052560ad590fc4a91b0001a805ff.html
  2. スペイン国内の世論
     「セウタの移民危機」は、スペインにとっても衝撃で、さまざまな意見がマスメディアを通じて発せられた。直接にはガーリー氏の入院が暴露され、それにモロッコが反発した事件だったのだが、スペインではより長期のモロッコ・スペイン関係に照らして事件を考える記事が目立った。
     政府はなんとか危機を収拾し、モロッコの怒りを静め、関係を何事もなかったかのように戻したいと必死だが、メディアはモロッコに対する憤りや、スペイン政府のふがいなさを嘆いたり、今こそ西サハラの自決権を支持すべきといった声をも伝えている。
     バスク地方出身で欧州議会議員、国会議員を務めたフェルナンド・マウラ氏はインパーシャル紙に、スペインはこれまでモロッコを手に負えない若者のように扱い、その挑発をできる限りやり過ごすように努めてきたと書いた。しかし、モロッコというのは幼い子どもを海に溺れさせても平気な国だ。スペインは力もなくまた意志堅固でもないが、ポルトガルが東ティモールにしたことを見習い、国連による住民投票の実施に向けて動くべきなのだ、と。(El Imparcial, 21 May 2021)
     また、セウタ危機が発生している最中、モロッコ外相に電話したブリンケン米国務長官がセウタ問題にまったく触れなかったことは、スペインのメディアを失望させた。カタルーニャのエル・ペリオディスタ紙によると、5月18日に、ブリンケン国務長官はモロッコのブリタ外相に電話をかけ、パレスチナ・イスラエル間の緊張に対する共通の憂慮について議論し、強力な米モロッコ関係を強調したが、セウタについては一切言及しなかった。3月には、モロッコとポリサリオ戦線の戦闘復帰という状況にも関わらず、米モロッコ両軍の海上共同演習が行われた。18日の電話も結局同じで、モロッコが地域の安定に果たす重要な役割を讃え、二国間関係の重要性を力説したのだった。ヨーロッパ・プレス紙も同様の論調。(El Periodico, 18 May 2021)
     また、ガーリー氏を訴えているサハラーウィ人権擁護連盟のリーダー、ラマダーン・メサウード氏(Ramadan Mesaoud)はモロッコ国王の指名によるものだとか、モロッコの肩をもち西サハラに対するモロッコの主権を認めるべきと主張する人民党のパブロ・カサードは何もわかっていないなどといった意見(El Diario, 20 May; Hispanidade, 21 May)も表明されている。
     マドリード・コンプルテンセ大学法学部教授のマヌエル・オイェ(Manuel Olle)氏は、モロッコこそサハラーウィに対するジェノサイドを行っているとして、モロッコを批判した。彼によれば、2006年に全国管区裁判所がサハラーウィたちの訴えに基づきモロッコの戦争犯罪を審理した際、裁判所はモロッコが西サハラを暴力的に占領し、軍と警察がサハラーウィを攻撃していること、国際司法裁判所が1975年10月16日にモロッコが西サハラに主権を有しないとの勧告的意見を出したこと、「緑の行進」が西サハラ侵略の始まりだったこと、国連が住民投票実施を決定したことを認めた。またスペインの裁判所はモロッコがサハラーウィに対してジェノサイドを行っていることを疑う合理的な理由があるとすら結論した。(El Diario, 25 May 2021)
    https://www.elimparcial.es/noticia/225967/opinion/marruecos-un-vecino-incomodo.html
    https://www.elperiodico.com/es/internacional/20210518/eeuu-reivindica-alianza-marruecos-crisis-ceuta-11738718

    https://www.hispanidad.com/confidencial/nuevo-error-pp-casado-sufre-sindrome-estocolmo-con-marruecos_12026383_102.html
    https://www.eldiario.es/opinion/tribuna-abierta/genocidio-cometieron-pueblo-saharaui_129_7964807.html
  3. 入院したガーリー氏が訴えられる?
     スペインの全国管区裁判所(在マドリッド、外国事案はここが担当)のサンティアゴ・ペドラス判事は、5月18日(火)「サハラーウィ人権擁護連盟」(親モロッコ派団体)のブラーヒーム・ガーリー氏に対する訴え(チンドゥーフ難民キャンプで拷問を受けた等)を受理すると決定した。また、同判事は、ガーリー氏が偽装して入国したと訴えた2週間前の別なサハラーウィ活動家の申立ても検討するとした。同裁判所は6月1日、または退院できた時に出頭するよう召喚状をガーリー氏に送ったが、ガーリー氏はアルジェリア大使館や信頼できる人びとと協議する必要があるとして、まだそれに応じていない。ペドラス判事は、病院から出れないのであれば、オンラインでの聞き取りを行うとしている。サハラーウィ人権擁護連盟はガーリー氏のパスポートを差し押さえることを要求しているが、検察はそうした予防的措置は必要ないとしている。(Europa Press, 18 May; 25 May 2021)
     スペイン政府は、ブラーヒーム・ガーリー氏が偽名パスポートで入国したのでないことを発表した。ガーリー氏はアルジェリアからスペインに入国し、その際、通常の旅行で彼が使っているパスポートで入国した。そのパスポートは基準を満たしている。また、スペイン政府はとくに入国の便宜を図ったわけではない。ただ、プライバシー保護のため入院の際は別の名前で入院しているとのことだ。(El Espanol, 21 May 2021)
    https://www.elespanol.com/espana/politica/20210521/gobierno-niega-polisario-entrara-pasaporte-negociara-inmunidad/582941982_0.html
    https://www.europapress.es/nacional/noticia-audiencia-nacional-admite-querella-asadedh-contra-ghali-notificara-salida-hospital-20210518155857.html

    https://www.europapress.es/nacional/noticia-pedraz-no-retira-pasaporte-ghali-informacion-prensa-no-puede-obvio-dar-lugar-medidas-restrictivas-20210525153250.html?utm_source=boletin&utm_medium=email&utm_campaign=usuariosboletin

【サハラアラブ民主共和国/ポリサリオ戦線】

  1. ポリサリオ戦線、国連特使候補スタファン・デ・ミストゥラ氏を承諾
     ポリサリオ戦線のアルジェリア大使、アブデルカーデル・ターレブ・オマル氏(Abdelkader Taleb Omar)は、国連事務総長の西サハラ問題特使として候補にあがったスタファン・デ・ミストゥラ氏(Staffan de Mistura)を4月29日に承認したと述べた。スウェーデンとイタリアの2つの国籍をもち、イタリアで外交官を務め、国連のシリア特使を務めた。現在74才。モロッコ側は返答をしていない。(TSA, 20 May 2021)
    https://www.tsa-algerie.com/sahara-occidental-le-polisario-accepte-la-designation-de-staffan-de-mistura-comme-envoye-special/
  2. 5月16・17日にモロッコ軍陣地に砲撃
     サハラーウィ人民解放軍(SPLA)は5月16日(日)と17日(月)、モロッコ国内の軍陣地に対して砲撃を行った。(Sahara Press Service, 17 May 2021)
    http://www.spsrasd.info/news/en/articles/2021/05/17/33235.html

【西サハラ/占領地】

  1. ゲルゲラートの道、舗装される
     モロッコは、ゲルゲラートからモーリタニアの国境に向かう道路の大半を改装し、一番上の層を舗装するのみとなった。モロッコの税関とモーリタニアの国境の間は4kmしかない。その半分弱は2017年以後舗装されていた。残り半分について、最近障害物が取り除かれ、平坦にならされた。きれいになった道路をトラックは時速120kmで飛ばすことができる。以前はくぼみだらけで時速20kmに落とさなければならなかった。
     この道路の完成でポリサリオ戦線のいう解放区は遮断され、海岸に行けなくなった。(swissinfo/EFE, 17 May 2021)
    https://www.swissinfo.ch/spa/marruecos-s%C3%A1hara-occidental_la-carretera-entre-el-s%C3%A1hara-y-mauritania–totalmente-remozada-por-marruecos/46625176

【モロッコ】

  1. ドイツと関係が悪くなった3つの訳
     仏ルモンド紙によると、モロッコが在モロッコドイツ大使館等との連絡を絶ち、在ドイツ大使も引き揚げるという、外交的圧力をかけたことについて、モロッコは沈黙を保ってきたが、5月8日に3つの理由を挙げた。それは西サハラ問題、モロッコ人テロリスト問題、そしてリビア問題である。
     西サハラ問題については、昨年12月の米政府による西サハラに対するモロッコの主権承認発表後、ドイツの国連大使が安保理の緊急会合を要請し、12月21日の会議で「モロッコが占領する」地域として西サハラを語り、国際法の尊重を呼びかけたことが、モロッコの怒りを買った。
     次に、モロッコでは元テロリストとされるムハンマド・ハージブ(Mohamed Hajib)の問題があった。モロッコ・ドイツの2つの国籍をもつこの青年は、パキスタンで逮捕され、ドイツへの帰路、ドイツ警察によってモロッコに追放された。そしてモロッコで2010年に10年の刑を言い渡された。彼はモロッコ警察によって拷問されたと主張している。彼は2017年に釈放され、ドイツに戻り、モロッコの体制を「犯罪者」と断罪する動画を録画し、人びとに体制に抗して立ち上がるよう呼びかけた。モロッコ政府はこれに異議を申し立て、インターポルに連絡したが、ドイツ警察は彼のドイツ帰国後の行動は刑法に触れるものではないとして、モロッコの要請を拒否した。それはモロッコにとって屈辱的なことだった。(Le Monde, 14 May 2021)
     3番目に、ドイツはリビア問題でモロッコを外した。アフリカ・インテリジェンスの記事によれば、2020年1月と10月にベルリンで開催されたリビア問題の国際会議にモロッコは招待されなかったが、それはドイツが関係国を絞ったかたちで開催しようと考えたからだ。アルジェリアは招待した。このことはモロッコにとって相当な屈辱だったらしい。モロッコはこれへの報復として、9月、ムハンマド6世の所有になるヴィシー・セレスタン・スパホテル(ラバトとカサブランカの間に位置する)でリビアの国家最高評議会と国民代議院の会合を行った。それが統一政府設立に向けた対話を促した。今年6月に3度目のベルリン会議が開催され、ドイツはモロッコに招待状を出しているが、ブリタ外相はまだ返事をしていない。(Africa Intelligence, 18 May 2021)
    https://www.lemonde.fr/afrique/article/2021/05/14/le-maroc-ouvre-une-double-crise-diplomatique-avec-l-allemagne-et-l-espagne_6080247_3212.html
    https://www.africaintelligence.fr/afrique-du-nord_diplomatie/2021/05/18/crise-maroc-allemagne–rabat-refuse-la-main-tendue-d-angela-merkel,109666350-ar1
  2. カナリア諸島(スペイン領)海底にケーブル敷設
     モロッコは、スペイン領カナリア諸島との間に一方的に引いた領海線のモロッコ側海底に光ファイバーケーブルを敷設した。スペイン政府は、国連海洋法に従って係争を解決するとしている。それなのにモロッコは、自国の沿岸から12マイルを領海として取り、排他的経済水域を200海里としていて、カナリア諸島側に食い込んでいる。敷設をしたのはフランスの会社で、5月に完了する。(Puerto928, 12 May 2021)(注・このケーブルは西サハラのダーフラにも届く。前号参照。)
    https://puertos928.com/marruecos-ya-cablea-sus-aguas-territoriales-de-canarias/
  3. ダーフラでクラン・モンタナフォーラムを6月開催
     スイスに拠点をおくクラン・モンタナフォーラムは、モロッコ国王がスポンサーとなって、西サハラのダーフラで会議を重ねている。西アフリカの開発構想を議論するという名目で有名人を集め、西サハラがモロッコであることをアピールする狙いがあり、ポリサリオ戦線は批判してきた。今年は6月22日「アフリカの女性とポストコロナのレジリエンス」をテーマに開催される。また、2022年3月、5月・6月、9月、11月にも開催予定だ。(Yabiladi, 8 May 2021)
    https://www.yabiladi.com/articles/details/109635/forum-crans-montana-reprend-activites.html
  4. 議会選挙、9月8日に
     モロッコの議会選挙が今年9月8日に行われるのに際し、選挙参加を呼びかけるキャンペーンを行う広告会社にブーメラン・コミュニケーションが指名された。2011年、2016年に続いての指名となる。オーナーはジャマール・ベンハドラー氏(Jamal Benkhadra)でかつてエネルギー大臣を務めたアミーナ・ベンハドラー氏の兄(弟?)。ブーメラン・コミュニケーションは政府や王室関連のビジネスの広告を幅広く請け負っている。(Africa Intelligence, 17 May 2021)
    https://www.africaintelligence.fr/afrique-du-nord_business/2021/05/17/les-elections-legislatives-reviennent-toujours-a-boomerang-communication,109666068-ar1
  5. ダーフラ港建設の受注
     ダーフラの新しい港、「ダーフラ・アトランティク」建設という巨大プロジェクトを受注したのはSomagec-SGTMの企業連合だった。2020年12月に行われた国際公募で選定された。SomagecもSGTMもカサブランカの建設会社で、巨大事業の経験が豊富。事業は11億ユーロを投じて、ダーフラの北40kmにあるンティレフト(Ntireft)に7年かけて新港を建設するというもの。2800mと600mの防波堤、12mx800mの商業用ドック(積み下ろし場)、7mx1500mの漁業用ドック、39ヘクタールの水域、450トンの船引き揚げリフトをもつ。近くには270ヘクタールの工業用地と13ヘクタールの自由用地が控える。ダーフラ・アトランティク港は最初は年間220万トンの取引を期待しており、西アフリカのみならず、ラテンアメリカとの貿易拠点となるという大望を抱いている。(Puertos928, 5 May 2021)
    https://puertos928.com/construccion-del-puerto-de-dakhla-marruecos-ya-hay-adjuductario-en-el-sahara/

【国際】

  1. ロシア・アフリカ会議開催、2022年
     ロシアのプーチン大統領は2022年にロシア・アフリカ諸国の会議を開催すべく準備を進めている。開催地候補はエジプト、セネガル、エチオピア。3月24・25日には、与党「統一ロシア」がアフリカ諸国の政治指導者たちとウェビナーを開催した。参加したのはアンゴラのジョアン・ロレンソ大統領、エチオピアのアビィ・アハメド・アリ首相の他、ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(Zanu-PF)、ザンビアの愛国戦線、アンゴラのMPLA、エチオピアの繁栄党、コンゴの労働党、ルワンダ愛国戦線、モロッコの公正発展党、ケニヤのジュビリー党など各国与党。(Africa Intelligence, 24 May 2021)
    https://www.africaintelligence.fr/afrique-est-et-australe_diplomatie/2021/05/24/comment-et-avec-qui-poutine-prepare-son-sommet-russie-afrique,109667897-art
  2. イスラエルがアフリカ連合加盟のオブザーバーを狙う?
     スーダンとモロッコとの関係正常化を果たしたイスラエルは、アフリカ連合のオブザーバーを狙っている。駐仏イスラエル大使(2015-2020)を務め、外務省アフリカ局長となったアリザ・ビン・ヌン氏は4月最後の週、アジスアベバを訪問し、アフリカ連合の中でどれくらい支持が得られるかを探った。アフリカでまだイスラエルと国交を結んでいない国は、マリ、ニジェール、モーリタニア、アルジェリア、リビア、チュニジア、コモロである。パレスチナはアフリカ連合のサミットではよく呼ばれている。また、アフリカ連合は5月11日、アル=アクサモスクへの攻撃やガザへの空爆を非難する声明を出した。イスラエルがオブザーバー資格を得るのは簡単ではない。
    (Africa Intelligence, 17 May 2021)
    https://www.africaintelligence.fr/afrique-ouest-et-centrale_diplomatie/2021/05/17/israel-retente-sa-chance-pour-entrer-a-l-union-africaine-par-la-petite-porte,109666097-ar1

以上。