西サハラ友の会通信 No. 14

 モロッコでは新型コロナの変異株による感染拡大の新しい波はみられず、1日360人ほどの感染者数に収まっています(モロッコの人口は約3,600万人)。これまでの死者は9,026人(5月2日)。ただワクチン接種はあまり進んでおらず、確保されたワクチンは930万回分。1人2回接種するとなると、人口の12.8%にしか行き渡りません。先週の接種スピードは1日当たり36,677回ということなので、1人2回接種すると考えると100万人に接種するのに約2月かかる計算になります。(Reuters COVID-19 Tracker: Morocco)

【今号のハイライト】

  1. バイデン政権が西サハラに対するモロッコの主権を承認したトランプの決定を「当分」継続するとモロッコに通告。
  2. ガーリー大統領がコロナ感染、スペインに入院。
  3. ポリサリオ戦線憲兵隊長がモロッコ軍のドローン・戦闘機連携攻撃で死亡。
  4. 人権高等弁務官、圧力があったことを告白。

【米国のモロッコ主権承認】
 4月30日(金)、モロッコ・イスラエルの関係正常化問題について次々とスクープを出してきたイスラエルのメディアAxiosが、ブリンケン国務長官がナセル・ブリタモロッコ外相に4月30日(金)、西サハラに対するモロッコの主権を認めたトランプ大統領の決定を、少なくとも当分の間、変更しない旨伝えたと報じた。実は10日前、バイデン大統領の中東問題顧問であるBrett McGurk氏がブリタ外相と話をした際、西サハラ問題について政策を変更しないことを印象づけていた。4月30日の両外相電話会談の後出された国務省の発表では、西サハラ問題はまったく触れられていなかったが、電話会談に近い筋によると、西サハラ問題は実際には議論され、ブリンケン国務長官はトランプの政策を今は変更しないと述べたという。この2週間ほど、ホワイトハウスと国務省がこの問題を議論し、トランプによる承認を変更せず、新しい国連特使の任命に向けてモロッコと協力し、自治案での決着をめざして交渉を行わせるという結論に至ったという。国務省はAxiosの問い合わせに対して、これを否定しなかった。(Axios, 30 Apr. 2021)
https://www.axios.com/biden-keep-trump-western-sahara-recogntion-morocco-349f187f-bfe7-444b-a4e2-437045ae5dcf.html

【戦争の状況】

  1. ポリサリオ戦線憲兵隊長、ドローン使用で殺害される
     4月6日(火)、ポリサリオ戦線のアッダーフ・エル=ベンディール憲兵隊長(al-Dah el Bendir、65才)がモロッコ軍のドローンを使った攻撃で殺害された。場所は解放区のティファリティのルス・イルニというところで、モロッコ軍支配地域への侵入から撤退しているときに攻撃された。モロッコのメディアによると、イスラエル製ドローンがレーザー光線で標的を捕捉し、F16戦闘機が標的めがけて攻撃した。モロッコ軍のFacebookでは、標的はブラーヒーム・ガーリー(大統領)だったと書いている。ポリサリオ戦線によると、ガーリー大統領はエル=ベンディール憲兵隊長と一緒にはおらず、モロッコ軍はでまかせを言っているとのこと。エル=ベンディール氏は1978年にポリサリオ戦線に参加し、1991年までに7回の戦闘に従事した。(El País, 9 Apr. 2021)(訳注:「憲兵隊 gendarmerie」は軍組織の一部で警察軍として警察行動に従事する。)
    https://elpais.com/internacional/2021-04-08/muere-un-mando-militar-del-frente-polisario-alcanzado-por-un-dron.html
  2. 使われたドローン
     エル=ベンディール憲兵隊長殺害に用いられたドローンがイスラエル製であることはモロッコメディアによって報道されている。しかし、どのドローンかについては報道が錯綜している。まず、イスラエルが昨年12月にモロッコに納入した3機のヘルメス450型(900型という説もある)の可能性がある。このドローンは本来サベイランス用であり、モロッコメディアが言うように、攻撃そのものはF16戦闘機によるものという線が濃厚だ。
     また、ダーフラの空港ではイスラエル製のEADS Harfangというドローンが配備されていたことが、衛星画像で明らかになっている(衛星画像は2018年11月2日のもの)。ポリサリオ戦線は使われたドローンはこの型だと報じている。あるニュースによると、Harfangドローンがイスラエルからモロッコに供与されたのは2020年1月26日で、4月に運用を開始したとされる。Harfangはエアバス・ディフェンスとイスラエル航空工業(IAI)との共同開発であり、購入の仲介をしたのもフランスのダッソー(Dassau)だった。(ダッソー・アヴィアシオンは戦闘機ミラージュを製造している会社。)このドローンも監視・情報収集用で、攻撃兵器を装備していないと考えられる。
    (Menadefense, 10 Apr. 2021, South Front, 11 Apr. 2021; Second Line of Defnese, SLDinfo.com, 3 Apr. 2021 )
    https://www.menadefense.net/afnord/questionnements-autour-de-lutilisation-dun-drone-dattaque-par-le-maroc/
    https://southfront.org/israeli-french-drone-spotted-in-moroccan-airport/
    https://sldinfo.com/2020/03/morocco-begins-harfang-uav-operations/
  3. トルコ、モロッコに武器装備のドローンを供与
     エルドアン大統領にも近いドローン製造会社バイカル(Baykar)は、モロッコに武器を装備した攻撃用ドローン、Bayraktar Akıncı Attack UAVを提供する。モロッコはこれで初めて攻撃用ドローンを手にすることになる。モロッコは12機注文した。このドローンの有効性はシリアやリビアでも証明済み。さらにカタールやアゼルバイジャンにも売られた。アゼルバイジャンはアルメニアからのナゴルノ・カラバフの奪還にこれを役立てた。チュニジアもトルコから購入を勧誘されたが、別なAnka-Sドローンを購入することにしたという。ちなみにBayraktarは、ドローン製造会社を率いるエルドアン大統領の娘婿のSelçuk Bayraktarの名前から来ている。(Africa Intelligence, 16 Apr. 2021)
    (Bayraktarのドローンについての宣伝動画が以下にあります。)
    https://www.youtube.com/watch?v=ix2N5VpJruk
    https://www.africaintelligence.com/north-africa_politics/2021/04/16/morocco-orders-turkish-armed-drones-as-hostilities-resume-in-western-sahara,109658112-ar1
    https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-04-05/armed-drones-in-turkey-erdogan-son-in-law-selcuk-bayraktar-tb2-planes-in-war
  4. モロッコ軍、ゲルゲラートに新検問所設置
     モーリタニアのメディアによると、モロッコ軍はモーリタニア側の55番ゲートに通じる道路上に新しい検問所を設置した。この地はかつて比喩的に「カンダハール」と呼ばれ、麻薬密輸のホットスポットだったが、2014年にモロッコがそうした活動を終わらせようと管理を始めたところだ。新検問所はポリサリオ戦線の兵士や民間人が行き来するのを防ぐのが目的だ。昨年の11月13日のモロッコ軍投入以来、モーリタニアとの国境に沿って約10kmの新たな壁がつくられ、モロッコは緩衝地帯への影響力を強化した。(Yabiladi, 16 Apr. 2021)
    https://www.yabiladi.com/articles/details/108637/guerguerate-installent-nouveau-point-controle.html

【サハラ・アラブ民主共和国/ポリサリオ戦線】

  1. ガーリー大統領/ポリサリオ戦線書記長、スペインに入院
     サハラ・アラブ民主共和国大統領/ポリサリオ戦線書記長のブラーヒーム・ガーリー氏(73才)は4月22日、スペインのログローニョのサン・ペドロ病院に入院した。新型コロナ感染のためアルジェリアの病院に入院していたが、スペインに移されたという。スペイン政府筋の情報では「人道的理由」による入院だとされている。
     モロッコはスペインが入院のためにガーリー氏の入国を認めたことに激しく反発しており、とくに別名のアルジェリア・パスポートでの入国を認めたことを非難している。また、スペインの親モロッコグループはかつてガーリー氏を人道に対する罪で訴追するようスペイン司法当局に要請する運動を行い、検察もガーリー氏に召喚命令を出したことがあるが、その後この件は棚上げされている。(AP, 23 Apr. 2021)
     また、この問題でスペイン・モロッコ両国関係が一時的な危機に陥っている。在スペインの親モロッコグループがガーリー氏の逮捕要求の声を強める中、モロッコのブリタ外相は、ブラーヒーム・ガーリーのためにスペインはモロッコとの外交関係を犠牲にする用意はあるのかと圧力をかけている。(Morocco World News, 2 May 2021)
    https://apnews.com/article/spain-government-and-politics-africa-europe-7b6b5ebdfecd96ccc7754b4ba6dcc321
  2. モロッコが、報復にカタロニアの独立運動指導者の亡命を認める
     スペインが人道的理由でガーリー氏の入国を受け入れたことへの報復として、4月30日、モロッコは、スペインが指名手配しているカタロニアの独立運動指導者、カルラス・プッチダモン氏の亡命を認めると発表した。プッチダモン氏は現在ベルギーに亡命中で、欧州議会の議員になっている。(Middle East Monitor, 30 Apr. 2021)
    https://www.middleeastmonitor.com/20210430-morocco-grants-asylum-to-former-catalan-leader-in-response-to-polisario-visit-to-spain/
  3. サーレク外相、国連加盟を申請したい
     サハラ・アラブ民主共和国のサーレク外相は、4月5日、国連加盟を申請したいと発言した。また、外相はモロッコを支援してばかりいるフランス、施政国としての責任を果たさないスペインを批判した。(AFP/Yahoo!News, 6 Apr. 2021)
    https://news.yahoo.com/western-sahara-demands-un-seat-151959480.html

【国連】

  1. 安保理、非公開で議論
     4月21日(水)、安保理は非公開でMINURSOについて議論した。何の合意にも至らなかったようで、具体的なアクションは提示されなかった。事務総長報道官は、空席となっている特使任命問題については、事務総長は努力しており、候補者を提案してきたが、簡単ではないと述べた(4月23日記者会見)。
     仏ル・フィガロ紙によると、米国は「エスカレーションの回避」を呼びかける声明を出そうとしていたが、インド、中国、アフリカ諸国(注1)の「誤解されるおそれがあり、逆効果だ」とする反対で実現しなかった。国連高官(注2)の「かなり直接的な」要請にもかかわらず、安保理は合意に達しなかった。AFPが入手したドラフトは3パラグラフの簡単なもので、当事者に「MINURSOとの建設的態度」を要請し、「停止した政治的プロセスをできるだけ速やかに再開するため」新たな国連特使の任命手続きを早めるよう求める内容だった。ある外交官によると、国連事務総長はこれまでに何人か候補を挙げたが、いずれかの関係当事者の拒否によって指名に至っていないとのことだ。また同外交官は、国連は現状が極めて不安定でエスカレートする可能性があると警告した、とも述べた。米国は結局モロッコの西サハラに対する主権承認問題については何もふれなかった。ロシアは米国を批判し、承認を撤回すべきだと主張。インドはモロッコを支持し、ケニヤはアフリカ連合の調停を支持した。アイルランドがTwitterで「国連決議の適用による西サハラ人民の自決権」に対する「完全なる支持」を表明している。(Le Figaro, 21 Apr. 2021)
    (注1)現在安保理非常任理事国のアフリカ諸国はケニヤ、チュニジア、ニジェールの3国のみ。
    (注2)誰とは書いてないが、おそらくMINURSO団長のコリン・スチュワート氏かマイケル・キングスレー・ニィナー国連アフリカ担当事務局次長代行のいずれかと考えられる。
    https://www.un.org/press/en/2021/db210423.doc.htm
    https://www.lefigaro.fr/flash-actu/onu-echec-americain-a-faire-adopter-une-declaration-sur-le-sahara-occidental-20210421
  2. 特使候補をアルジェリアとポリサリオが拒否
     安保理開催の前日(つまり4月20日)、モロッコのオマール・ヒラレ国連大使はメンバー国にあてて手紙を出し、事務総長が挙げてきた特使候補を2名続けて拒否したとして、アルジェリアとポリサリオ戦線を非難した。2人の候補者とは、元ルーマニア首相のペトレ・ロマン(Petre Roman)氏と元ポルトガル外相のルイス・アマド(Luís Amado)氏である。ルイス・アマド氏については、2017年にモロッコを訪問した際モロッコの「自治案」を歓迎したことをポリサリオ戦線のブラーヒーム・ガーリー書記長が非難していた。(Middle East Online, 20 Apr. 2021; Yabiladi, 21 Apr. 2021)
    https://middle-east-online.com/en/morocco-slams-algeria-polisario-over-appointment-personal-envoy-sahara
    https://www.yabiladi.com/articles/details/108889/envoye-sahara-polisario-change-fusil.html

【西サハラ・占領地】

  1. 風力発電は国王のビジネス
     西サハラのブージュドゥールに建設予定の風力発電所は、国王ムハンマド6世の持株会社アル・マダ(Al Mada)の所有になるものだが、この風力発電所の建設を請け負ったのがCMS (Construction Management Services)だ。この会社は国王の元私的管財人であったズハイル・ファーシー・フェヘリ(Zouhair Fassi Fehri)が責任者となってから売り上げを40倍に増やした。風力発電所は300MWの出力をもち、アル・マダ社の子会社であるナレバ(Nareva)社とイタリアのエネル(Enel)社が共同で運営する。米国のジェネラル・エレクトリック社(GE)は2基の風力発電所に(備品を)供給する会社として2月に選定された。これによって西サハラの電力をモロッコの高圧電線網に接続することが可能になった。この仕事はフランスのCegelec社にまかせられている。CMS社は他にも王室関連の建設事業をいくつも請け負っている。(Africa Intelligence, 7 Apr. 2021)
    https://www.africaintelligence.fr/afrique-du-nord_business/2021/04/07/cms-se-met-en-ordre-de-bataille-pour-les-eoliennes-du-roi-a-boujdour,109655481-ar1
  2. マクロン大統領の党、西サハラに支部設立か?
     仏大統領マクロン氏の政党「共和国前進(La REM)」が、4月8日、党結成5周年を記念して、西サハラのダーフラに委員会を設立することを決定した。ポリサリオ戦線はこれに抗議。また、フランス共産党や連帯グループ(アフリカ諸人民友好連帯協会」も批判している。(Humanite, 13 Apr. 2021)
     ただ、フランス政府自身は「共和国前進」の委員会が設立されることを「遺憾」だとコメントするに留めた。共和国前進は、委員会設立は現地のイニシアティブなので撤回するつもりはないとのことだ。(Le Monde, 14 Apr. 2021)
     現地のイニシャティブとは、クロード・フレシネ(Claude Fraissinet)という、在モロッコフランス商工会議所(CFCIM)ダーフラ事務所長を指す。CFCIMはエル=アイウンに続き、2019年にダーフラに事務所を開設した。フレシネ氏は「モロッコ領サハラ」の熱心な擁護者である。というのも、彼はAMB Dakhaという会社をもち、農業・漁業用の産業設備や包装機械を販売している。この2分野はモロッコの西サハラ開発戦略の柱である。また、彼は、モロッコで広告会社をやりながら「共和国前進」カサブランカ委員会設立にも尽力したモロッコ人ビジネスマン、ジャワード・ブッサクラーン(Jaoued Boussakouran)と知り合いでもある。
     共和国前進のダーフラ委員会設立に際しフレシネ氏に協力したのは、ミレイユ・マルボス(Mireille Malbos)というダーフラ在住のフランス人ビジネスウーマンである。彼女はSarga Surf Campという会社の社長を務めるが、それはムハンマド6世のいとこであるヌフィーサ・エル=ヤァコービー(Noufissa el-Yacoubi)王女が所有する多くのホテルの一つ、Océan Vagabond Dakhlaと提携してできた会社である。王女は西サハラにおけるモロッコの「サーフィン外交」の先頭に立っている。Sarga Surf Campに株主の中にはジェローム・サフユーン(Jérôm Sahyoun)というプロ・サーファーがいるが、彼の父親は大手建設会社Somagecのボス、ロジェ・サハユン(Roger Sahyoun)である。そしてこの建設会社はダーフラ新港建設を請け負う候補者に名を連ねている。(Africa Intelligence, 19 Apr. 2021)
     しかし、西サハラでの委員会設立は共和国前進の中でも議論を呼んだ。それは、アルジェリアとの関係を悪化させ、その結果、4月11日に予定されていたジャン・カステックス首相のアルジェリア訪問は無期限に延期された。(Africa Intelligence, 23 Apr. 2021)
    https://www.humanite.fr/ils-nont-pas-honte-larem-meprise-les-sahraouis-colonises-703149
    https://www.lemonde.fr/afrique/article/2021/04/14/paris-regrette-la-creation-d-un-comite-de-la-republique-en-marche-au-sahara-occidental_6076716_3212.html
    https://www.africaintelligence.fr/afrique-du-nord_diplomatie/2021/04/19/qui-est-claude-fraissinet-futur-delegue-du-parti-de-macron-a-dakhla,109658115-gra
    https://www.africaintelligence.fr/afrique-du-nord_diplomatie/2021/04/23/les-amis-du-maroc-a-paris-bientot-reunis-a-dakhla,109659959-ar1
  3. 仏会社、西サハラに海底ケーブル敷設
     フランスのAlcatel Submarine Networks社(フィンランドのノキアの一部)は西サハラ南部のダーフラ沖に海底ケーブルを敷設した。西サハラ資源ウォッチ(Western Sahara Resource Watch: WSRW)が4月19日に発表した。WSRWによると、2隻の船が3月11日にダーフラ沖で作業を始め、付近の漁師に通知がなされた。その通知は、モロッコ・テレコム社が67マイル(約108km)の海底ケーブルを敷設するので、付近を航行する船舶は作業区域を避けるようにとの内容だった。2隻の船は上記仏会社のマレーシアの子会社Cable Maintenance Offshore Ltd.所有のPeter Faber号と、同じ仏会社の子会社ASN Marine SASU所有のIle de Brehat号である。(WSRW, 19 Apr. 2021)
    https://wsrw.org/en/news/telecom-cables-laid-in-occupied-waters

【モロッコ】

  1. ポーランド実業界とのオンライン会議
     4月7日(水)、在ポーランドモロッコ大使館の主催で、モロッコの言う「南部2州」(注:ラユーン・サキア・エル=ハムラ州とダーフラ・ウエド・エド・ダハブ州のことでその大半は西サハラ)の地域投資評議会(CRI)会長たちとポーランドの実業家たちとのオンライン会議が開かれた。ポーランドの実業家たちは5月16日から21日にかけてモロッコを訪問する計画である(コロナが収まれば)。ポーランド側で参加したのは多目的軽量ヘリコプター、電話通信、再生可能エネルギー、食品工業分野のリーダーたちだった。(Yabiladi, 8 Apr. 2021)
    https://www.yabiladi.com/articles/details/108290/sahara-chefs-d-entreprises-polonaises-rencontrent.html
  2. ノルウェーへの働きかけ
     4月21日の安保理会議でもそうだったように、ノルウェーは西サハラ問題については原則的な立場を維持してきた。MINURSOに人権監視の任務を付加することに賛成し、EUモロッコ自由貿易協定に西サハラを含むことに反対した。2020年4月には、ノルウェー外相が議会に対してコロナ渦の西サハラの人権状況を見ていると説明した。これらをポリサリオ戦線寄りとみなすモロッコは、ノルウェーへの働きかけを強化するため、4月29日に両国外相会談を行った。(Yabiladi, 30 Apr. 2021)
    https://www.yabiladi.com/articles/details/109218/maroc-s-ouvre-principal-allie-polisario.html
  3. モロッコ航空、パリ・ダーフラ便開設
     モロッコ航空は6月にパリ・ダーフラ直行便を開設する。その第一便に乗ってダーフラ入りしたいフランスにおける「モロッコの友人」は大勢いる。そのためモロッコ外相率いる大訪問団がパリに向かう予定である。その調整をしているのはパリ在住のロビースト、オマル・アラウィー氏(Omar Alaoui)で、仏政界の左から右までの名だたる政治家にアプローチしている。例えば、中道では元大臣のジャン=ルイ・ボルロー氏(Jean-Louis Borloo)、左派では元国防相/協力相のジャン=マリー・ボケル氏(Jean-Marie Bockel)、ジャン=マリー・ル・ゲン氏(Jean-Marie Le Guen)、元議員のジュリアン・ドレイ氏(Julien Dray)、右派では共和党事務局長のアウレリアン・プラディエ氏(Aurélien Pradié)や副事務局長のピエール・アンリ・デュモン氏(Pierre-Henri Dumont)、そして共和国前進では議員のピエール・ペルソン氏(Pierre Person)、ベンジャマン・ジブロー氏(Benjamin Givreaux)がいる。これらの政治家達は昨年12月以来、モロッコ国営通信社を通じて、西サハラに対するモロッコの主権を支持する発言を発表している。こうした動きをコーディネートしてきたのは在フランスモロッコ大使のサアド・ベンドゥルー氏(Saad Bendourou)とオマル・アラウィー氏だった。(Africa Intelligence, 23 Apr. 2021)
    https://www.africaintelligence.fr/afrique-du-nord_diplomatie/2021/04/23/les-amis-du-maroc-a-paris-bientot-reunis-a-dakhla,109659959-ar1

【国際】

  1. アルジェリアが北アフリカ税関局長会議で憤慨
     4月6日、北アフリカ・中東税関局長会議で、西サハラがモロッコ領になっている地図に抗議して、アルジェリアが会議を退出した。(Radio Algérienne, 6 Apr. 2021)
    https://www.radioalgerie.dz/news/fr/article/20210406/209717.html
  2. 仏外相、モロッコ外相とオンライン会談
     4月8日、ジャン=イヴ・ル・ドリアン仏外相とナセル・ブリタモロッコ外相はオンライン会談を行った。西サハラについて仏外相は、国連安保理決議に従い、公正、永続的で相互に受け入れ可能な政治的解決の模索を支持する、モロッコの自治案を「真面目で見込みのある(serious and credible)基礎」と考えている、そして国連事務総長の特使の速やかな任命を呼びかけていると述べた。(仏外務省HP、8 Apr. 2021)
    https://www.diplomatie.gouv.fr/fr/dossiers-pays/maroc/evenements/article/maroc-entretien-de-m-jean-yves-le-drian-avec-son-homologue-08-04-2021-en
  3. モーリタニアがモロッコ野菜の輸入制限措置を撤回
     西サハラ友の会通信 No. 12(4月6日)で伝えた、モーリタニアによるモロッコ野菜の輸入制限措置は、たった数日で撤回された。3月31日に貿易観光相が発した輸入制限措置の通知は、4月8日には撤回されていた。輸入業者たちの要求によるものと思われる。モーリタニアは野菜をモロッコからの輸入に頼っている。(Yabiladi, 9 Apr. 2021)
    https://www.yabiladi.com/articles/details/108344/mauritanie-decision-reduire-importations-agricoles.html
  4. アルジェリア・モーリタニア航路が開通
     4月12日(月)、アルジェとヌアクショットを5日で結ぶ航路が開通した。アルジェリアの輸出業者はこれによってマリやセネガルの市場へのアクセスが可能になると期待している。(Yabiladi, 13 Apr. 2021)
    https://www.yabiladi.com/articles/details/108489/l-algerie-lance-ligne-maritime-commerciale.html
  5. スペインのプロサッカーリーグの宣伝ビデオ
     スペインのプロサッカーリーグ(LaLiga)は、世界各地の風景をフィーチャーしたプロモーションビデオで西サハラのダーフラをモロッコとして紹介した。ポリサリオ戦線はこれに抗議。LaLigaは抗議を受け入れ、謝罪し、ダーフラのシーンを削除すると述べた。(Yabiladi, 10 Apr. 2021)(注:実際にはこのモロッコのメディア上で動画を見ることができます。ダーフラの海岸が登場しますが、知らないとこれがダーフラだとはわからないでしょう。ちなみに日本は雪の富士山が登場します。)
    https://www.yabiladi.com/articles/details/108399/spain-laliga-gives-polisario-withdraws.html
  6. アフリカサッカー連盟、西サハラを除外する規約改定
     アフリカサッカー連盟(CAF)は規約を改正し、国連加盟国以外は連盟への加入を認めないことにした。これで西サハラは自動的に排除される。ポリサリオ戦線はこれに抗議した。(Yabiladi, 13 Apr. 2021)
    https://www.yabiladi.com/articles/details/108508/polisario-adresse-lettres-protestation-contre.html
  7. 元仏首相、自治案を支持
     オランド大統領の下で2014年から2016年まで首相を務めたマニュエル・ヴァルス氏(Manuel Valls)は、現在故郷のバルセロナ市議会の議員になっているが、西サハラ問題の解決はモロッコ内の自治を受け入れることが必要だと、MGH Partnersというロビー団体によるインタビューで語ったと、モロッコメディアが報じた。ヴァルス氏は、米国による、モロッコの西サハラへの主権承認は「大きな地理戦略的上の変動」であり、フランスやスペインが遅れをとっていることは残念だと述べた。ちなみにヴァルス氏はカタローニア独立に反対する立場を鮮明にしている。(le360, 30 Apr. 2021)
    https://fr.le360.ma/politique/manuel-valls-la-france-et-lespagne-doivent-etre-plus-clairs-a-propos-de-leur-soutien-au-maroc-sur-le-237766
  8. バチェレ人権高等弁務官、圧力を認める
     西サハラ・ジュネーブ支援グループ(国連メカニズムに焦点を当てて活動する欧州の西サハラ支援団体)がミシェル・バチェレ国連人権高等弁務官と面会した際、同弁務官は「ある関係者たちが、私たちが当地の人権状況に国際社会の関心を引こうとするのを妨害している」と述べた。「ある関係者たち(certain parties)」が誰であるかは述べなかったが、人権高等弁務官事務所に圧力がかけられていることを示したものだ。ポリサリオ戦線ジュネーブ代表のウマイマ・マフムード・アブドゥッサラーム氏は、バチェレ氏の発言は、国連が西サハラを見限ろうとしているというサハラーウィの認識を裏付けるものだと見ている。(Sahara Press Service, 18 Apr. 2021)
    https://spsrasd.info/news/fr/articles/2021/04/18/32709.html

以上。