ドキュメンタリー映画 Provincia 53(第53県) 

2019年にスペインで公開されたドキュメンタリー映画『第53県』、この一部を日本語字幕付きでご紹介します。
制作者は詩人のラウラ・カシエリェスさんです。
西サハラの植民地宗主国だったスペインは、他の植民地がたどった脱植民地化のプロセスを放棄しました。
このため隣国モロッコが当地を占領し、西サハラ紛争が発生し現在に至っています。
タイトルの『第53県』は、植民地時代にこの地域がスペインで53番目に当たる海外県に、そして国際法上スペインは今も西サハラの施政国であることに由来します。
つまり『第53県』の制作意図は、スペインが負う歴史的責務を世論に再認識してもらい、スペインと国際社会に対してサハラーウィの民族自決権行使を求めることです。
映画は13篇の短い証言映像で構成され、一篇を除いて、どれも5分前後の長さです。
ここではその中から『放棄』、『教育』、『砂漠の墓地』の三篇を掲載いたします。

 

『放棄』


証言者:スペイン領サハラに暮らしたスペイン人女性
    スペイン領サハラで子供時代を過ごしたサハラーウィ女性、二人
    スペイン領サハラで軍に入隊していたサハラーウィ男性
    スペイン領サハラに暮らしたサハラーウィ男性

※柿色のメラフファを着たサハラーウィ女性が、「スペイン皇太子の サハラ訪問を見ました今の国王です」と言う国王は、ドキュメンタリー撮影時の国王ですので、現在では前国王に当たります。

 

『教育』


証言者:スペイン領サハラで教師を務めたスペイン人女性
    その教え子だったサハラーウィ女性
    会話に出てくるセクション・フェミニナは、フランコ独裁体制の一翼を担い、女性の教育や養成を行った組織。

 

『砂漠の墓地』


証言者:パイス・バスコ大学(スペイン)のフランシスコ・エチェベーリア教授。
    法医学・文化人類学者。
    「集団の記憶」と呼ばれるスペイン市民戦争・フランコ独裁時代の集団墓地の発掘やチリのアジェンデ元大統領の死因解明、セルバンテスの遺体埋葬地の探索などの作業で活躍。
 この「砂漠の墓地」で発見された遺体は、1976年に侵攻したモロッコ軍隊に射殺されたサハラーウィ遊牧民です。