<現地報告>アフリカ最後の植民地・西サハラを行く(1)プロローグ 15年ぶりに訪れた現地は大変化
西サハラ問題は、「忘れられた紛争」とも呼ばれることがある。
アフリカ北西部の「西サハラ」と呼ばれる地域では、1975年にモロッコが入植を開始して以来、帰属の定まらないまま、今日にいたっている。
西サハラは、よそ行きの顔をした紛争地とも言えよう。
モロッコにおいて西サハラ問題に触れることは最大のタブーであり、その実情を知ろうとするものの入域は拒まれてきた。また、西サハラの民が声を上げれば、当局による弾圧が待っている。現地を訪ねても、見えてくるのは「モロッコの一部として繁栄する西サハラ」ばかりだ。西サハラの内実を知ることは、難しい。
実は、日本との繋がりもある。日本に流通するタコの2割強が、西サハラの海でとれたものだ。タコを介して、私たちは西サハラと繋がっている。
2018年、西サハラのモロッコ占領地を訪ねた。15年ぶり、4度目となる。そこには、モロッコ化されつつある姿と、モロッコ化されることのない声が同居する西サハラがあった。
占領開始から44年が経つ現在の西サハラ各地の姿と声を、報告する。