TICAD閣僚会議

10月6,7日に東京で、TICAD閣僚会合が開催されましたが、これにサハラ・アラブ民主共和国SADRの代表団が出席しました。
去年8月マプトで開催された閣僚会合に続いて、二度目の参加です。
モロッコはこの出席に抗議して、6日に退場となりました。
その経緯は次のとおりです。

・会合に先だち、10月5日に開催される予定となっていた専門家会合で、日本側がSADR に対する信任バッジを拒んだため、アフリカ連合側がこの会合を持ちこすことに決定。

・6日午前、SADR 出席をめぐり日本・アフリカ間の交渉。
その結果、SADR 未承認の理由で出席を認めない日本と、全メンバー国に出席の権利を保証するアフリカ連合の折衷案が採られ、SADR は出席するが、各代表の席に国名は表示されず「アフリカ連合」と記されたプレート。

SADRの代表団は、ウルド=サーレク外務大臣(写真、左から二番目)とバアリー駐AU代表・駐エチオピア大使です。

河野外務大臣は開会スピーチの中で、SADR出席の件に言及しました。
外務省HPにスピーチの仮訳が掲載されています。こちらがその部分です。

「最後に,仮に日本が承認していない,「国」として自称する主体がこの会場にいたとしても,その事実は暗示的に明示的にも国家承認に関する日本の立場に影響を与えるものではないことを表明する。
また,共催者であるアフリカ連合と日本以外の,いかなる名札の設置も許されないことを明確にしたい。
卓上を含めた全体会合の会場内にある旗についても,共催者であるアフリカ連合と日本以外のものの設置は許されない。
秩序を乱す者は誰であれ,会場からの立退きを要求されることがある。」

一方この出来事に関するモロッコ政府の見解ですが、独立系メディア Le Desk が、<TICAD の扉をバタンと閉めたモロッコ、日本に対し行動を起こすよう求める>と題した記事と、河野外相のスピーチ動画を掲載しています。
中身となっているのはモロッコ外務省配信の概要報告で、その報告から次の6つの点を取り上げていました。

・今回日本が示した行動は、TICAD を守る行動ではなかった。それは国際的合法性のレベルから外れ、モロッコ領サハラ問題に関する日本の従来の姿勢を反映するものでもない。

・日本当局は、これまでモロッコに対して日本が示してきた、とりわけ先のニューヨークにおける両国外相会談で示された、約束の精神を自覚していなかった。

・モロッコとの相互関係を強化し、国際的合法性を守ろうと努めるパートナー諸国に対し、日本の明らかな躊躇の姿勢が前例を作るようになってはならない。

・モロッコ代表団は、マプトで生じた憂慮すべき状況の再来を望まず、アフリカの統一と利益を優先するために、静かな態度を貫いた。これは1993年の創設以来、TICAD が獲得してきた経験とその原則を犯すことを拒むからだ。

・モロッコ代表団は、両国関係の利益上、今後、日本が国際的合法性に順じて行動するために、今回確認された軌道逸脱を修正することと期待している。

・モロッコ領サハラ問題は、ヌアクショットのAUサミットで決議されたように、いかなる場合もAUサミット以外のところで検討および討議することはできない。