ジュネーヴ第二回会議
西サハラ問題のための国連事務総長個人特使ホルスト・ケーラー氏は3月21日と22日、モロッコとポリサリオ戦線、それにアルジェリア、モーリタニア代表団が参加する会議をジュネーヴ郊外で開催しました。
昨年12月に行われた会議に続き、第二回目です。
会議終了後、ケーラー特使は記者団会見を行ない、会議はどの代表団も相互に敬意を払いつつ率直に意見を交わす雰囲気の中で進められたと述べ、第三回目も、西サハラ人民の自決権を盛った国連安保理事会決議2440号(2018年10月)に則って、開催する予定だと伝えました。
「私がみなさん方に、<今のところ容易ではなく、また先々もそうでしょう>と述べたとしても、どなたも驚かれないでしょう。誰も、早々に結果が出るとは期待してはなりません。根本的なところでは、まだまだ多くのくい違いがあるのですから。」
こうして第二回目でも大した進展は得られず、会議の行く手を悲観的に見る向きがあっても当然ですが、ケーラー特使は、先代の国連事務総長個人特使三人が果たせなかった任務を、地雷原を歩むような心地で、遂行しているものと推し測られます。
例えば、モロッコは過去に何度も国連が設けるポリサリオ戦線との二者間直接協議に参加してきたにも拘わらず、今回は「紛争当事者はアルジェリアとモロッコ」説をかざしてポリサリオ戦線との一対一を頑なに拒否しました。
モロッコのこの持論は紛争ぼっ発当初からありましたが、今回のように国連主導の場に持ち出す態度は初めてです。
そこでケーラー特使は、過去にはオブザーバーの肩書だったアルジェリアとモーリタニアを同格で同座させることで、モロッコが国内世論には言い分が通ったように顔向けできる会議にしたのです。
また民族自決権については、この権利の行使は住民投票でという考えも、モロッコは拒否しています。
今回の会議を終えて、モロッコのブーリータ外相は、安保理決議2440号に盛られた西サハラ人民の民族自決権について、モロッコの考えは「いかなる場合にも、これが住民投票あるいは独立を意味するものでは決してない」と述べています。
モロッコにとっての民族自決権は、モロッコが地域住民に与える自治権でしかないのです。
一方ポリサリオ戦線は、「西サハラ住民の合意なしには、持続性ある解決はありえない」と主張し、「この問題が解決すれば当地域の平和と安定に貢献することになるだろう」と述べました。
ケーラー特使は第三回会議の日程についてはまだ言及していませんが、四月下旬に行われる西サハラ問題の安保理事会でどのような決議が採択されるか、この内容次第とみられます。
記者会見を終えるにあたり、特使は西サハラ問題解決がどんなに緊切な課題であるかを次のように伝えています。
「苦しみを抱え続ける人々、将来の展望を描けない若者たち、戦争勃発への脅威など、この紛争がもたらす代償はあまりにも度を越して、受け入れがたいものです」
「西サハラの住民が紛争の終結を必要としており、それに報われて当然であること、これを私たちは絶えず心に留めておかねばなりません」