占領の実態を報道すれば刑罰

2018年12月4日、国連主導下でモロッコ・ポリサリオ戦線間の会談がジュネーヴで開催された日、西サハラ占領地の住民たちが、エル=アイウンで、住民投票要求のデモを行いました。 

しかし非暴力のデモ隊に対し、モロッコ当局は容赦なく武力で応じました。

この模様を現地レポートしていたジャーナリストのナズハ・エル=ハーリディーさんは、拘束されて虐待を受け、カメラと携帯を没収されました。

そして今年3月、ナズハさんは5月14日の裁判出頭命令を受けました。

その後裁判はこの20日、そして24日に延期されています。

ナズハさんは2005年以来西サハラの占領地で、rasd-TV(注)とエキップ・メディアという団体のために報

道活動をしており、逮捕されたのは昨年12月で二度目でした。

今回の裁判では、「モロッコ政府発行のジャーナリスト証明書を有さない者がその活動をした」罪が問われます。

エキップ・メディアは、既に6名のメンバー・ジャーナリストを刑務所に閉じ込められて、活動が脅かされています。

刑は一人が終身刑、二人が25年禁固、あとの三人はそれぞれ20年、6年、4年の禁固です。

一方5月19日、今回の不当裁判を傍聴するためにスペインから弁護士5名、ノルウェーからNGOオブザーバー2名がエル=アイウン空港に到着しました。

ところが全員、空港内で6時間身柄を拘束された後、強制的にカサブランカ行きの飛行機に乗せられ、自国へ強制送還されました。

なおナズハさんに対する弾圧に対して、アムネスティー・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、反拷問世界機構、Front Line Defenders の団体が抗議しています。

占領地のサハラーウィ住民に対する弾圧の実態は、十数年前から、情報機器普及のおかげで海外にも流れ出るようになりました。

しかしその通信行為の代価そのものも、占領下の現実をさらに如実に伝えることになっています。

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注:rasd-TVは2004年に難民キャンプで創設され、2009年から放送を開始したテレビ局。インターネットでも過去の録画などを見ることができます。
http://rasd.tv/