スマーラで、複数の男が鉄パイプでサハラーウィに暴行

西サハラ西部の主要都市スマーラで、西サハラを占領統治しているモロッコの私服警官数名が、西サハラの民サハラーウィに対し激しい暴行を加えたとする現場の映像が、サハラーウィによりウェブで報じられています。
本日午後、西サハラ在住のサハラーウィからこの知らせを受けました。
この映像を報じたNushatta Foundationと、私にメッセージを送ったサハラーウィ、及び過去に報じられた内容を整理してお伝えします。

https://www.facebook.com/EnNushatta/videos/2301540460066560/

■西サハラ領有に対する抗議デモで逮捕
2015年6月、サハラーウィの活動家でありジャーナリストのサラ・リバシールは、西サハラのスマーラでサハラーウィの民族自決を主張する抗議デモ中に逮捕されました。彼は4年の実刑判決を受け、マラケシュから200km南にあるタタ刑務所に投獄されました。

■刑期を終えたものの・・・
昨日の6月6日、サラは刑期を終えました。スマーラでは、彼の家族や仲間をはじめとする多くのサハラーウィが、彼を迎え入れる準備をしていました。しかし現在、モロッコ警察はスマラ市内のサラの自宅につながる道のすべての入り口を封鎖し、彼の凱旋帰宅を阻止しようとしています。

https://youtu.be/qll_EfkRRK4

■サハラーウィ支援者を警察が暴行
この映像は、6月8日にスマーラで、サラの解放を祝うパーティに向かおうとした数名のサハラーウィを送迎しようとした車両が、なんらかの理由で警察に取り押さえられ、そのドライバーと同乗者数名が、複数の男によって鉄パイプのようなもので叩かれているところをとらえたものです。映像の右側には警察車両と警官が映っていますが、この暴力行為を制止せず、女性を連行する様子が見られます。

■暴行は日常的に横行
この映像のみをもって、暴行を加える男たちを私服警官と根拠づけることはできません。
しかし、西サハラ占領地に暮らすサハラーウィは、この男たちを「plain clothe Moroccan policemen」と記しています。この男たちが警察とは別の民兵組織であるならば他の言葉を使うでしょうが、そのような言葉を私は聞いたことがありません。また、民衆によるリンチであれば、サハラーウィはそう記すはずです。私自身、現地で私服警官を何度も目にしています。
極めてショッキングな映像ですが、これは、西サハラで長く続く日常の風景のひとつです。
モロッコが占領した西サハラでは、44年間にわたって、サハラーウィへの弾圧が続いています。

岩崎有一