モロッコ当局に夫との面会を拒否された仏人女性のハンスト

2018年5月19日: 夫との面会を求めて4月18日にハンストに入ったフランス人女性クロード・マンジャンさんが、一ヶ月後の5月17日にハンストを停止しました。

マンジャンさんは、モロッコの刑務所に収監されているサハラーウィの夫に一年半前から面会できなくなり、モロッコ当局に面会の権利を要求していました。

彼女の抗議ハンストを支援する人々が、フランスを始め、ヨーロッパ諸国そして日本からも署名キャンペーンを行い、フランス大統領にモロッコ当局へのとりなしを求めました。

5月15日、フランスの国会質疑において、仏外相がモロッコ側に働きかけていることを公言したこと、そして支援者たちからの助言を受けて、マンジャンさんは停止を決意しました。

この後、モロッコ当局がマンジャンさんに入国許可を出し、以前のように夫ナアマ・アスファーリーと面会できるかどうかが、注目されます。

以下はハンストの停止を伝えたフランス日刊紙、リュマニテの記事の部分訳です。

西サハラ : クロード・マンジャン・アスファーリーさん、30日を経てハンストを停止

<フランス外務省は、夫との面会を禁止されているこのフランス人女性のために、モロッコ当局に対してサハラーウィ政治囚ナアマ・アスファーリーとの面会を許可するように要請している>

2018年5月17日 リュマニテ(フランス)
「私は、ハンストを停止することに決めました」と告げたクロード・マンジャンさんの声は、疲労と感動でかすれてはいたが、いつものようにきっぱりとした口調だ。

この日イヴリー・シュール・セーヌ市役所で行われた記者会見で、マンジャンさんは30日間続けたハンストを停止すると発表した。

すると支援者たちから、安堵のため息が出た。彼女が健康と命を危険に晒すことを案じて、数日前から停止を勧めていた人たちだ。

このフランス人女性がハンストという最終手段を選んだのは、七年前からモロッコで収監されている政治囚の夫ナアマ・アスファーリーと面会する権利を求めているからだ。ナアマ・アスファーリーは2017年7月19日に30年の禁固刑を下され、現在ケニトゥラ刑務所に入っている。

この活動家は、モロッコに占領された西サハラで、非暴力の抵抗運動を行っている代表的人物で、2010年11月8日、グデイム・イジーク抗議キャンプ村がモロッコ当局により武力壊滅される日の前日に、警察に連行され拷問を受けた。

そして仲間の22名と共に、軍事法廷で弾圧を目的とした政治裁判に処された。

その後モロッコ当局は、西サハラ人民の民族自決権を求めるこの活動家に対し、さらに報復を追加して、クロード・マンジャンさんにモロッコ入国を禁止したのだ。

彼女は、夫との面会のためにモロッコへ行ったが、4回に渡って入国を拒否され、その都度ラバトやカサブランカの空港から出ることさえ許されなかった。

<ハンスト中のマンジャンさんに寄せられた、並はずれた規模の支援>

今月15日の国会質疑において、共産党のジャン・ポール・ルコク議員は、外務大臣に対し「フランスは、国際法が自国の市民を守るように保証しなければならない」この案件について、「緊急に」行動を起こすよう要請した。

これに対しジャン・イヴ・ル=ドゥリアン外相は、「マンジャン氏は、本人の置かれた状況についてモロッコ当局の注意を促すために、ハンストを開始されました。この行動について、非常に多くの人々が支援と連帯を表明しました。フランス政府は、人道的で緊急を求めるこうした嘆願を考慮し、マンジャン氏が夫と面会できるような措置を、モロッコ政府に対し再度求めました。私自身も、公式上だけではなく個人的にも、モロッコ外相と数回に渡り話し合いました。従って、現段階につきましては、非常に格別の、また非常に感動的な前夜を迎えているとお伝えしたい次第です。」と答えた。

17日、マンジャンさんは仏外相の言葉を「信頼しています」と述べると共に、「この約束が果たされるかどうか、今後もみなさんに注意深く見守り続けて頂きたい」と呼びかけた。

「西サハラ-抵抗の轍」より転載