欧州委員会は漁業協定をめぐってポリサリオ戦線代表と会談

EUとモロッコはいくつかの分野で取引協定を結んでいますが、モロッコ占領下にある西サハラについて明確な記述がなかったため、水産物を始めこれまでにさまざまな天然資源の略奪を許してきました。

これに対し、ポリサリオ戦線が欧州司法裁判所に提訴した結果、2015年12月、裁判所は西サハラ住民の同意なく、西サハラを協定の適用範囲に含むことは違法であると決定しました。

にもかかわらずモロッコのプレッシャーを受ける欧州委員会はこの間、裁定を無視して協定の締結を試みていました。

今年に入り、欧州司法でポリサリオ戦線を弁護するドゥヴェール弁護士の談話がマスコミに取り上げられ、ポリサリオ戦線は不法漁業の賠償として年24億ユーロを関係企業に請求できると述べています。

また、昨年夏の西サハラ短信237号でお伝えしましたように、西サハラのリン鉱石を積載した船が寄港先の南アフリカで拿捕され、裁判に持ち込まれることになりましたが、結局モロッコは裁判から下りて500万ドル相当の商品を放棄する結果となりました。

こうした経緯を経て、先日欧州委員会は在ブリュッセルのポリサリオ戦線欧州代表でありサハラ・アラブ民主共和国の欧州担当大臣を招き、話し合いを行いました。

以下は、これに関するアルジェリアのデジタル新聞 Tout Sur Algérie の記事訳です。

TSA 2018年2月10日  

2月9日、駐ヨーロッパのポリサリオ戦線代表部は、8日に欧州委員会の招きを受け、西サハラをめぐる問題について話合いを行ったと発表した。

この声明文の中でモハメド・シダーチ欧州担当大臣は「欧州委員会による招きは、好意的に受け止めた」とし、「話合いでは、我々は、EU・モロッコ間取引協定の協議が西サハラも含めた方向で進められることに対して、深刻に憂慮していることを確認し、またそこには国際法上で西サハラ人民を代表するポリサリオ戦線の同意を得るための、裏表のない、公正で信頼性あるプロセスが欠落している点を明確にした。」と述べている。

続いて声明文は、「EUとモロッコ間のいかなる協定も、内容が西サハラを明瞭に除外していない限り、協定はモロッコによる不法占領をさらに強めることになる。このため、我々は欧州の司法を信頼し、欧州裁判所に再び提訴する用意がある旨をしっかり伝えた。

同時にまた、国連の和平プロセスに対し、我々は全面的な支持を繰り返し表明しており、ホルスト・ケーラー国連事務総長個人特使の尽力には現在建設的な協力を寄せている。

こうした文脈からも、我々は欧州委員会に対し、国連の政治的和平プロセスにおける進展が妥当であることを訴え、ケーラー特使の努力に障害となるものは一切排除せねばならない必要性を呼びかけた」と説明している。

「西サハラ-抵抗の轍」より転載