西サハラ友の会通信 No. 46(2026年3月21日発信)
西サハラ友の会通信 No. 46(2026年3月21日発信)
2024年11月・12月のニュース
今回はモロッコの国内情勢に関するニュースが多いのですが、外資導入による開発、軍拡、人権弾圧、スペインへの圧力が中心です。
目次
【西サハラ/占領地】
・スペインのエネルギー会社、ダーフラに「進出」
・モロッコ軍、地雷除去を開始
【西サハラ/ポリサリオ戦線】
・マニュエル・デヴェール弁護士インタビュー
・モロッコのドローン、アルジェリアの警官1人を殺害
【モロッコ】
・ダーフラ・カサブランカ高圧送電線、入札締め切りを延長
国王、「緑の行進」記念日にテレビ演説
・モロッコ・フランス、グリーンエネルギー共同開発
・エル・アイウンの港を拡張
・ロシアからの小麦輸入を拡大
・西サハラのトマト生産者「アズラ」の対EUロビー強化
モロッコ「セウタとメリジャ解放のための委員会」を設立
・モロッコ、軍需産業を税免除で誘致
・モロッコ、EUに警告
・ナイジェリア・モロッコガスパイプライン、署名へ
・セウタ獲得のためのプロパガンダに5千万ユーロ
・モロッコ、西サハラの空域20%を掌握
・家族法の改正
・イスラエルがモロッコでドローン工場の建設開始
・モロッコの人権団体:自決権を擁護し、訴えられる
・モロッコ・南アフリカ、冷え行く関係
【アルジェリア】
・スペインとの貿易停止を解除
・新たなリン鉱石採掘、中国企業を排除
【FIFA:ワールドカップ2030】
・モロッコが西サハラを含む地図を提出、FIFAは拒否
・決勝戦会場をめぐり、モロッコがスペインをスパイ
【EU・欧州】
・欧州復興開発銀行、モロッコ・リン鉱石公社に融資
・元スペイン閣僚、EUロビー企業でモロッコが顧客
【スペイン】
・モロッコ:EUが西サハラに対するモロッコの主権を認めるまで、セウタ・メリジャの税関は開かない
・メリジャ(飛び地)市、モロッコに税関を開けるよう圧力を要請
・メリジャ産、モロッコへ輸出禁止
・欧州人権裁判所、サハラーウィのスペイン国籍請求を退ける
・サンチェス首相が夫人のビジネスに便宜をはかる?
・モロッコ政府のスペイン人記者訴訟(控訴審)、敗訴
・グリーン水素事業でフランスに敗北
・社会労働党全国党大会決議、西サハラを排除
・ボノ元首相(PSOE)、モロッコのタンジェに「邸宅」
・発覚:モロッコのスパイが逃亡
・西サハラ空域管制権のモロッコへの譲渡を否定
・社会主義インターナショナル、モロッコで開催
・モロッコの傀儡運動が社会主義インターナショナルに加盟か
【フランス】
・仏モロッコ大使、西サハラを訪問
・ポリサリオ戦線の弁護士、ジル・デヴェール氏、68才で死去
・カザヌーブ元首相、在モロッコ仏商工会議所会議で議長
・フランス国民議会にもモロッコロビー
【アイルランド】
・ライアンエアー、西サハラへの航空路開設
【ロシア】
・ロシア・アフリカパートナーシップフォーラム閣僚会議
・ロシア、モロッコと漁業協定更新か
【中国】
・中国企業2社、モロッコから変圧器の受注を獲得
・習近平、モロッコを訪問
【中南米】
・パナマがサハラ・アラブ民主共和国の承認を撤回
・エクアドルがサハラ・アラブ民主共和国の承認を撤回
・パラグアイ、西サハラへのモロッコの主権を承認する議会決議
【西サハラ/占領地】
スペインのエネルギー会社、ダーフラに「進出」
モロッコの報道によると、スペインのファクトール・エネルギア(Factor Energia)社は、ムハンマド・アディーブ・タドラーウィー(Mohammed Adib Tadlaoui,)が所有するサハラ・グリーンソリューションズと提携してダーフラに子会社、ファクトール・エネルギア・アフリカ社を設立する準備をしている。目的は電力の販売だ。(Tel Quel, 6 Nov. 2024)
https://telquel.ma/2024/11/06/lespagnol-factor-energia-simplante-au-maroc_1902854
モロッコ軍、地雷除去を開始
先週モロッコ軍兵士2名が地雷で死亡したから、モロッコ軍が西サハラとの国境近くで過去数ヶ月地雷除去作業を行っていたことがわかった。地雷爆発事故はテゥイーズギー(Tuisgui)という、アルジェリアとの国境に近いところで起きた。モロッコ軍の声明によれば、3人目の兵士が負傷し、ムレー・ハサン軍病院に運ばれたという。(Europa Press, 18 Dec. 2024)
https://www.europapress.es/internacional/noticia-onu-confirma-operaciones-desminado-ejercito-marroqui-cerca-sahara-occidental-20241218214342.html
https://archive.is/jjB7G
【西サハラ/ポリサリオ戦線】
マニュエル・デヴェール弁護士インタビュー
マニュエル・デヴェール弁護士は父親であるジル・デヴェール弁護士と一緒にポリサリオ戦線側に立ってEU裁判所での西サハラ訴訟を闘った。ジル・デヴェール氏はつい先日病のため亡くなったが、3つの勝利判決を勝ち取った今、次になにをすべきか、インタビューを行った。以下は答の要旨。
12年前に始めたこの裁判闘争は、誰も勝てるとは思っていなかった。判決はヨーロッパにおける「法的な地震」とも言える。国際法における非植民地の歴史でも前例がない。
判決では、モロッコ政府が産品の原産地が西サハラであることを示す書類を出せば、協定にもとづく関税の特恵待遇が得られるとしている。EU側は何らかのかたちで新しい協定をつくろうとするだろうが、それは可能だとは思わない。マクロン大統領は最近モロッコを訪問し、モロッコとの関係強化を図った。彼は以前はEUの背後に控えていたが、EUが隠れ蓑にならないと知って、自分が表に出てきた。何らかのかたちでモロッコに補償しなければならないと思ったのではないか。なんと言っても西サハラからの輸出は年あたり6億7,000万ユーロになる。それはパレスチナからの輸出額2億3,000万ユーロよりも多い。
ケースとしてはウクライナとドンバス地方を考えればいい。ドンバスのウクライナ人たちは制裁の被害者となってはならない。彼らはEUへの輸出を許されるべきだ。そうするとEUはどうするか。EUはウクライナ政府の輸出証明があれば受け入れる。われわれが提示する解決も同じで、西サハラでの経済活動も、ポリサリオ戦線の許可があれば輸出が可能だということだ。
EU司法裁判所はパレスチナと西サハラを同じと考えている。したがって西サハラ判決は2019年の入植地産品判決の弟分と言えるものだ。消費者の観点から言えば、私は私が買っているものが何かを知る権利があり、原産地表示が偽っていれば私の権利が侵されることになる。判決は貿易は欧州委員会の管轄であり、輸入を禁止するかどうかは欧州委員会の判断によるとしている。欧州委員会がどうするのか、今後見極めていきたい。
関連して注視すべき現象がひとつある。それは中国がモロッコでほんの少し加工をし、モロッコの特恵待遇を利用してEUに輸出している問題で、欧州委員会はモロッコ経由の中国製品に対してダンピング防止手続きを開始したということだ。このようにEUは域内市場を保護する必要がある。(El Independiente, 30 Nov. 2024)
https://www.elindependiente.com/internacional/2024/11/30/el-abogado-que-derroto-a-marruecos-y-la-ue-los-saharauis-noquearon-a-nueve-goliat-y-volveran-a-golpear-donde-mas-duele/
https://archive.is/qPvxl
モロッコのドローン、アルジェリアの警官1人を殺害
モロッコのメディアによると、12月27日、モロッコ空軍のドローンがチンドゥーフ市の西、ムリディマテ地方(アッサ・ザグ州)で20人のポリサリオ戦線兵士とアルジェリア兵を乗せた車を攻撃した。アルジェリアの警官1名(中尉)が死亡、数名が負傷した。モロッコ軍はアルジェリア兵5名を逮捕したと発表した。彼らは道に迷ったとされている。(Yabiladi, 27 Dec. 2024)
https://www.yabiladi.com/articles/details/158091/drone-frappe-vehicules-polisario-officier.html
https://archive.is/NMBR7
【モロッコ】
ダーフラ・カサブランカ高圧送電線、入札締め切りを延長
西サハラ資源ウォッチがモロッコのメディアLe 360を引用して伝えるところによると、モロッコが西サハラのダーフラとモロッコのカサブランカを結ぶ1,400kmの高圧送電線の入札の締め切りを11月12日まで延長した。これで延長は6回目になる。フランス政府はこの高圧送電線を資金援助する用意があると発表している。(Western Sahara Resource Watch, 4 Nov. 2024)
https://wsrw.org/en/news/morocco-still-searching-partner-for-controversial-cable
国王、「緑の行進」記念日にテレビ演説
11月6日(水)、モロッコ国王ムハンマド6世は「緑の行進」(西サハラへの侵攻作戦)を記念するテレビ演説を行い、西サハラでの住民投票は「実施不可能」だと強調した。そして、過去にこだわり幻想を振りまいているとしてチンドゥーフの難民キャンプを統治するポリサリオ戦線を非難した。(El Independiente, 6 Nov. 2024)
https://www.elindependiente.com/internacional/2024/11/06/mohamed-vi-se-jacta-de-que-el-referendum-en-el-sahara-es-inaplicable-y-acusa-a-argelia-de-querer-un-acceso-al-atlantico/
https://archive.is/U9ZXG
モロッコ・フランス、グリーンエネルギー共同開発
10月末、マクロン大統領がモロッコを訪問した際、モロッコの国営リン鉱石会社(OCP)とフランスのエネルギー会社Engieが共同でグリーン水素工場を建設する契約が結ばれた。年間100万トンの脱炭素・アンモニアの生産に用いられる。3ヶ所の候補地があり、一つは西サハラのダーフラ・エル・アイウン地域だ。(Africa Intelligence, 5 Nov. 2024)
https://www.africaintelligence.fr/afrique-du-nord/2024/11/05/ocp-et-engie-en-prospection-pour-leur-mega-usine-d-hydrogene-vert,110335574-art
エル・アイウンの港を拡張
「緑の行進」の49周年を記念して、11月5日(火)、エル・アイウン港拡張事業開始の式典が行われた。完成は2030年。現在の埠頭を100m延長する他、350mの埠頭をつくり、204mの浮遊する桟橋を建設する。(Yabiladi, 7 Nov. 2024)
https://www.yabiladi.com/articles/details/155997/maroc-lancement-projet-d-extension-port.html
https://archive.is/MNGYo
ロシアからの小麦輸入を拡大
干魃で生産が落ち込み、フランスからの小麦輸入も減る中、モロッコは小麦の輸入先を広げる必要に迫られている。そこにロシアの小麦輸出拡大策が合致した。11月29日、カサブランカのマリオットホテルでロシアの小麦輸出業者6社がモロッコの小麦輸入業者と会合を行う。ロシア側の代表団を率いるのはルスグレイン(Rusgrain)会長、エドゥアルド・ゼルニン氏。2024年は、6月1日から10月31日までの統計をみると、モロッコのロシアからの小麦輸入量は53万2000トンになっており、フランスからの輸入51万4,000トンを越えている。それまでモロッコの銀行は西側諸国の制裁を恐れてロシアとの取引を控えていたが、この数ヶ月そうした制約もとけてきている。(Africa Intelligence, 19 Nov. 2024)
https://www.africaintelligence.fr/afrique-du-nord/2024/11/19/une-delegation-russe-attendue-a-casablanca-pour-intensifier-la-cooperation-cerealiere%2C110340636-art
西サハラのトマト生産者「アズラ」の対EUロビー強化
ロビー会社リンカース・アドボカシー(Linkers Advocacy)が、西サハラでトマトを生産するアズラ(Azura)の対EUロビーを担当することになった。アズラは、モロッコ南部のアガディールや西サハラでミニトマトを生産し、欧州に売っている。アズラはGroupe Agricole Tazi (GAT)という会社のブランド名で、創業者は「トマト王」で名高いムハンマド・タージー。リンカース社の株を100%所有するのは元モロッコ航空の社長ミリヤム・アビークゼル(Myriam Abikzer)で、La Nouvelle Société Avant-Scèneというイベント会社が親会社だ。そのCEOを務めるのがドリース・ベンヒーマ(Driss Benhima)で、モロッコのガス会社(Air Liquide Maroc)の取締役会の議長を務めている元交通大臣だ。
ミリアム・アビクゼル氏は当時農相だったアズィーズ・アハヌーシュ現首相の命を受け、EU司法裁判所でモロッコの利益を代表する役を担い、EUモロッコ農産物協定が破棄されないよう弁護した。そして裁判所から1年のモラトリアムをもらったことでその目的は達成された。ドリース・ベンヒーマ氏はエコール・ポリテクニークの卒業生で、フランス企業、中でもエネルギー企業のMGHエネルギー社と炭化水素を専門とするモロッコ系企業ペトロムなどのために働いた。この2社は10月、マクロン大統領のモロッコ訪問時、50億ユーロ相当の契約を結んでいる。(Africa Intelligence, 14 Nov. 2024)
https://www.africaintelligence.fr/afrique-du-nord/2024/11/14/accule-a-bruxelles-azura-fait-appel-a-des-poids-lourds-du-lobbying%2C110339384-art
モロッコ「セウタとメリジャ解放のための委員会」を設立
11月20日(水)、ベニ・エンザールに100近い団体が集まり、「セウタとメリジャ解放のための委員会」を設立した。議長はアブドゥルハミード・アキード(Abdelhamid Aakid)。すでに何年も活動歴のある団体ではあるが、モロッコの2地域に対する要求を強める目的で再活性化された。モロッコではセウタとメリジャは「占領された都市」と言われている。2018年、モロッコは一方的にメリジャの商業用国境を閉鎖した。サンチェス首相がモロッコの西サハラに対する主権を認めた(ママ)あとも、国境は閉鎖されたままだ。(OKDiario, 21 Nov. 2024)
https://okdiario.com/andalucia/marruecos-reta-sanchez-forma-comite-anexionarse-ceuta-melilla-13856236
モロッコ、軍需産業を税免除で誘致
5ヶ月前、モロッコ政府は2ヶ所を軍需産業誘致用の特区に指定したが、さらにそこで操業する企業の法人税を5年間免除することにした。現在モロッコは小口径銃用弾丸の生産ぐらいしかやっていないが、将来は、ドローンや戦車、装甲車、弾道ミサイルなどの部品まで製造できるようになりたいという。招致にのった最初の外国企業はインドの「タタ・アドバンスト・システムズ」で、9月27日にモロッコ軍と、少なくとも100台のWhAp8x8 (戦車のような大砲装備装甲車)を生産する契約を結んだ。
ストックホルム平和研究所によると、モロッコは多少落ちてきたとはいえ世界で29位の兵器購入国である。モロッコが買う武器の69%は米国からのもので、14%がフランス、11%がイスラエルとなっている。(El Confidencial, 21 Nov. 2024)
https://www.elconfidencial.com/empresas/2024-11-21/marruecos-exenciones-fiscales-atraer-industria-defensa-extranjera_4007420/
https://archive.is/Ocfhg
モロッコ、EUに警告
EUの近隣諸国・拡大コミッショナー、オリヴァー・ヴァルヘルイ氏がラバトを訪問した際、モロッコのブリタ外相は、EU司法裁判所の結果を受けEUがモロッコとの関係を重視していると述べていることについて、具体的な行動で示さなければならないと警告し、「愛というものはない、あるのは愛の証拠だ。パートナーシップというのもない。あるのはパートナーシップへのコミットメントの証拠だ。モロッコは言葉だけでなく、目に見える具体的な証拠が欲しい」と述べた。(El Independiente, 25 Nov. 2024)
https://www.elindependiente.com/internacional/2024/11/25/marruecos-reta-a-la-ue-tras-el-reves-judicial-por-el-sahara-no-hay-amor-solo-pruebas-de-amor/
https://archive.ph/u39Zz
ナイジェリア・モロッコガスパイプライン、署名へ
ECOWAS(西アフリカ経済共同体)のサミットが12月中旬にアブジャで行われ、そこで「大西洋・アフリカガスパイプライン(AAGPO)」に参加する16ヶ国の署名が行われる予定だ。総工費は260億ドルとなる。工事は3段階に分けて行われ、2029年にはガスの移送が始まる。ただ、最初の段階となる西アフリカガスパイプライン(WAGP)の延長工事を考えても、そもそも現時点でWAGPが機能しているとはいえない現状がある。ナイジェリアのガス不足が原因で、そのためガーナで電力不足が起きている。しかし、モロッコがイニシャティブをとっていることで投資家たちも楽観している。(Africa Intelligence, 25 Nov. 2024)
https://www.africaintelligence.fr/afrique-ouest/2024/11/25/gazoduc-nigeria-maroc–la-cedeao-se-dirige-vers-une-signature-en-decembre%2C110341859-art
セウタ獲得のためのプロパガンダに5千万ユーロ
モロッコはセウタで自決権に関する住民投票を要求している民間団体に総額5000万ユーロの資金援助を行っている。スペインの国家情報センター(CNI)によると、文化団体、ソーシャルメディア、教育プログラムなどが対象になっているという。例えば、地域のNGOや宗教団体を通じて、モロッコとの文化的アイデンティティの共有を促進する活動、「再統合」を宣伝するイベント、住民を分断する偽情報キャンペーンなど。スペインの情報部がもっとも憂慮するプログラムは、セウタはモロッコから「奪われた」ものであり「奪還」される必要があるという言説を広める活動だ。そうした言説はモロッコ政府が資金を出すイマーム(イスラム指導者)のネットワークを通じて流されている。また、自動化されたボットを使った偽情報・真実情報を混ぜ込んだキャンペーンもある。セウタのアラブ系住民のコミュニティに対しては、セウタは文化的にはモロッコに属するという宣伝が流され、スペインの市民にはセウタはスペインにとって経済的・政治的な負担になっているという宣伝が流される。モロッコは少なくとも1,000万ユーロを、こうしたメッセージを受け入れそうなユーザーをターゲットにしたアルゴリズムを使って偽情報を拡散することに使っている。
こうしたモロッコのデジタルプロパガンダ戦略はロシアがウクライナやバルト諸国で使っている戦略とよく似ている。憂慮されるのは、国家情報センターの警告にもかかわらず、スペイン政府は何も対策をとっていないということだ。モロッコにしてみれば、スペイン政府の「受動性」は弱さの表れであり、セウタはますます紛争に呑み込まれていく。今や、スペイン政府の反応もなく、セウタがいつまでモロッコの戦略に耐えられるかが問題だ。6年もしない内に(2030年までに)セウタは静かな、しかし歴史的な脅威に直面することになるかもしれない。(Teleceuta, 16 Dec. 2024)
https://www.teleceuta.com/marruecos-invierte-50-millones-de-euros-para-reclamar-ceuta-despues-del-mundial-2030/
モロッコ、西サハラの空域20%を掌握
信頼できる筋によると、西サハラの空域についてのスペイン・モロッコの交渉が続いている一方で、モロッコは飛行禁止区域を設定するなどして、西サハラの空域の15%から20%を事実上掌握している。ある報告書によると、1976年以来、いろいろな事故がおきているという。例えば、カナリア諸島の管制(ACC)と西サハラの空港間の連絡が途切れたり、未確認飛行(モロッコ空軍と思われる)が頻繁に確認されたり、空港の名称が変えられたり、危険空域が設定されるなどだ。1980年代は、ポリサリオ戦線が一般の民間飛行機を撃墜するということがあり、それは1985年にピークに達した。そのため米国政府は西サハラの上空を飛行することは危険だとの警告を国際的に発した。そしてスペインも同空域での捜索はできないと認めた。現在、スペイン政府はモロッコとの交渉の進捗を明らかにしようとはしない。そしてアルバレス外相は、西サハラ管制域をモロッコに引き渡したというのはいいがかりだとして、退けている。カナリア諸島出身の議員は、管制域を譲渡すれば観光分野でモロッコがどういう規制をかけてくるかわからないとの心配を口にした。(El Independiente, 25 Dec. 2024)
https://www.elindependiente.com/espana/2024/12/25/marruecos-controla-alrededor-del-20-del-espacio-aereo-del-sahara-occidental/
https://archive.is/AuCoE
家族法の改正
モロッコの新しい家族法が2025年に制定になる予定だ。それによると、妻は夫のポリガミー(多妻)に反対できるようになる。夫が第二夫人をもてるのは、第一夫人が不妊であるとか「夫婦の義務」を遂行できない場合に限られ、司法の許可が必要となる。また、特別な条件を付けない限り、結婚年齢を18才以上とすることで幼児婚を難しくする。モロッコの農村部では幼児婚が広く行われている。離婚は双方の合意のもとに行われるようになり、仲裁機関が設置される。大きな違いは、離婚した妻が子どもに対して親権をもてるようになることだ。ただし、女性が再婚する場合、子どもが7才以下、または特別なケアを要する病気や障害をもっている場合を除いて、その親権は失われる。離婚の際の財産分割について、女性が家事労働をしていたことが考慮される。さらに、子どもの養育費は裁判所が決め、支払い期限を定めて課される。外国に住むモロッコ人女性は2人のムスリムの証人なく結婚できる。これまでこれは不可能で、モロッコには市民的婚姻というものがなかった。
以上のようなことは、アラブ世界では大きな進歩で、モロッコはその点先進的な国となる。モロッコより進んでいる国はチュジニアぐらいだろう。(El Confidencial, 24 Dec. 2024)
https://www.elconfidencial.com/mundo/2024-12-24/marruecos-restringe-poligamia-matrimonio-ninas-menores_4031994/
https://archive.is/KUE29
イスラエルがモロッコでドローン工場の建設開始
イスラエルのブルーバード・アエロシステムズがモロッコでのドローン製造工場を建設すると発表したのは2024年の4月だった。それが今や早速現実となり、建設がスタートした。モロッコのメディアYabiladiが明らかにした。(TSA-Algerie, 26 Dec. 2024)
https://www.tsa-algerie.com/israel-entame-la-construction-dune-usine-de-drones-militaires-au-maroc/
https://noteolvidesdelsaharaoccidental.org/israel-inicia-la-construccion-de-una-fabrica-de-drones-militares-en-marruecos-tsa/
モロッコの人権団体:自決権を擁護し、訴えられる
モロッコの最も有名な人権団体「モロッコ人権協会(AMDH)はサハラーウィの自決権を支持するアジーズ・ガーリー会長の声明を出した。AMDHは、声明は2024年10月1日の国連事務総長報告の第4パラグラフに沿ったものであり、モロッコ政府も2024年10月31日の西サハラ決議を承諾しているわけであるから、AMDHが西サハラの自決権を擁護したとしてもモロッコ政府の立場と矛盾しないと述べた。
しかし、ファイサル・ウメルズーグ弁護士は、AMDHの声明を領土的保全を脅かすものとみなし、1958年11月15日の王令に反するとしてAMDHの解散を求めて、裁判所に提訴した。一審裁判所の公判は2025年1月8日に延期された。アル=カラーマ人権擁護協会(イスラム系の公正開発党と近い)のテトゥアン支部も、AMDHの声明が領土保全に違反し、モロッコ国民を侮辱するものだとして、テトゥアンの一審裁判所の検察に告発した。
モロッコ政治囚支援委員会(HIMAM)は、こうした動きをAMDHとそのガーリー会長に対する組織的なキャンペーンだとし、会長に対する誹謗中傷や脅迫行為を行うSNSや王室に近いウェブサイトを批判した。
また、モロッコの治安当局は、人権活動家ジャワド・アル・ハミディ(Jawad Al-Hamidi)をアガディールで逮捕した。彼は西サハラの占領を非難し、サハラーウィの自決権を支持していた。
モロッコ国内の西サハラ支持についてはこれまでも存在していた。例えば、ネルソン・マンデラに次ぐ長期政治囚となったアブラハム・セルファーティー(Abraham Serfaty: 1926-2010)やハンガーストライキで獄中死した詩人サイーダ・メンブヒー(Saida Menebhi: 1952-1977)がいる。また、「民主主義の道」党や人民勢力社会主義同盟(USFP)青年部もサハラーウィの自決権を支持している。他にも自決権を支持する政治家、ジャーナリスト、映画監督らがいる。(Periodistas, 29 Dec. 2024)
https://periodistas-es.com/una-demanda-en-marruecos-contra-la-amdh-por-defender-la-autodeterminacion-del-sahara-184615
https://noteolvidesdelsaharaoccidental.org/una-demanda-en-marruecos-contra-la-amdh-por-defender-la-autodeterminacion-del-sahara-periodistas-en-espanol/
モロッコ・南アフリカ、冷え行く関係
12月15日、在モロッコ南アフリカ大使エドリス・エブラヒム氏が帰国した。2021年の着任以来、南ア・モロッコ関係の強化に取り組んできたが、アフリカ民族会議(ANC)がポリサリオ戦線を支援していることが障害となってうまくいかなかった。一方、モロッコは2023年以来、南アには代理大使しかおいていない。南アもエドリス大使帰国後は代理大使になるもようだ。(Africa Intelligence, 16 Dec. 2024)
https://www.africaintelligence.fr/afrique-du-nord/2024/12/16/sur-l-axe-rabat-pretoria-des-chancelleries-sans-ambassadeur%2C110351184-bre
【アルジェリア】
スペインとの貿易停止を解除
11月6日(水)、アルジェリアは882日続いたスペインとの貿易停止命令を解除した。アルジェリア銀行が発表した。それまで肉・セメントだけ例外として扱われていた。アルジェリアの銀行は2022年6月9日以降、スペインのサンチェス首相がモロッコの西サハラ自治案を支持したことに反発して、スペインとの決済を停止していた。(El Independiente, 6 Nov. 2024)
https://www.elindependiente.com/internacional/2024/11/06/argelia-desbloqueo-comercio-espana/
https://archive.is/GXY16
新たなリン鉱石採掘、中国企業を排除
11月9日、アルジェリアはテブサのブレード・エル=ハドバ(Bled El Hadba)での新たなリン鉱石採掘事業を発表した。ムハンマド・アルカーブエネルギー鉱業大臣が発表した。当初計画されていた中国企業の参加は見送られた。ブレード・エル=ハドバには12億トンのリンが埋蔵されていると考えられ、そのうち8億トンが採掘可能だという。採掘は2027年にスタートし、年間600万トンのリンを採掘し、500万トンの肥料をスーク・アフーラス州のウエド・ケベリットの工場で生産する。
採掘事業はアルジェリアの会社であるソナトラックとソナレムが行う。2023年5月、ソナトラックのCEO、トゥフィーク・ハッカールが中国を訪問し、合弁企業のACFC(アルジェリア中国肥料社)に資本の出資を求めたが、最終的には資金調達力の不足から排除された。
アルジェリアは世界10大リン鉱石埋蔵国に入るという。(TSA, 17 Nov. 2024)
https://www.tsa-algerie.com/lalgerie-ecarte-les-chinois-et-lance-lexploitation-dun-gisement-geant-de-phosphate/
【FIFA:ワールドカップ2030】
モロッコが西サハラを含む地図を提出、FIFAは拒否
この夏モロッコがスペインとポルトガルのサッカー協会に提示したモロッコの地図は、西サハラがモロッコ領であるかのように描いていた。しかし、先週FIFAが発表した報告書は、その地図を使わず、西サハラをモロッコと区別していた。スペインサッカー協会の内情に詳しい筋によると、スペインサッカー協会はモロッコが出した西サハラを含むモロッコの地図を了承したという。協会メンバーには元社会労働党政権の大臣だったホセ・マヌエル・ロドリゲス・ウリベス高等スポーツ評議会長がいる。サンチェス首相の方針転換もあって、モロッコの地図を受け入れた。その論理は、「これはサッカーの地図であり、政治地図ではない。現実に西サハラのスポーツを取り仕切っているのはモロッコである」というものだった。一方で、EU司法裁判所の判決もあり、FIFAは西サハラをモロッコ領と認めない地図を採択したのだった。(El Independiente, 5 Dec. 2024)
https://www.elindependiente.com/internacional/2024/12/05/marruecos-cuela-a-la-federacion-espanola-un-mapa-con-el-sahara-occidental-que-la-fifa-rectifica/
https://archive.is/pG6nV
決勝戦会場をめぐり、モロッコがスペインをスパイ
漏洩した情報をスペインのメディアが報じたところでは、モロッコはFIFAワールドカップ2030の決勝を行うスタジアムをめぐって、FIFAとの交渉を有利に進めるためスペインをスパイしていたという。メールや電話の盗聴、機密文書へのアクセスなどを通じて、スペインが提示した条件を探った上で、カサブランカに建設される巨大なスタジアムを決勝戦の会場にしようと画策したらしい。モロッコのスパイ活動を支えたのは不動産王のカリム・メズアル、電話会社と関係するナディル・エル=ハダッドといったビジネスマンで、ワールドカップにからむインフラ開発やサービスの契約をえさに影響力を行使していたとされる。(La Gaceta, 22 Dec. 2024)
https://gaceta.es/deportes/marruecos-espio-a-la-rfef-para-robar-la-final-del-mundial-2030-para-casablanca-20241222-1433/
【EU・欧州】
欧州復興開発銀行、モロッコ・リン鉱石公社に融資
欧州復興開発銀行(EBRD)は、西サハラで不法にリン鉱石を採掘するモロッコのリン鉱石公社(OCP)に22億ディルハム(2億800万ユーロ)の融資を行う。公社の活動に必要な海水の脱塩(淡水化)事業を支援するためだ。ヨーロッパは2026年から脱化石燃料化していない肥料の輸入を禁止するが、今回の支援によってOCPは100%再生可能エネルギーを使えるようになるという。(Africa Intelligence, 13 Nov. 2024)
https://www.africaintelligence.fr/afrique-du-nord/2024/11/13/la-berd-acte-un-pret-de-22-milliards-de-dirhams-pour-ocp-group%2C110339098-art
元スペイン閣僚、EUロビー企業でモロッコが顧客
かつてサパテロ政権(社会労働党)で建設大臣を務めたホセ・ブランコ(José Blanco)は現職のアントニオ・ヘルナンド通信長官(元社会労働党議員)と一緒にブリュッセルにEUロビー・コンサルタント会社、アセント(Acento)を設立した。アセントはスペインで最も有力なロビー会社になっている。ブリュッセル事務所の顧客リストにはモロッコ国際協力庁やモロッコ大使館が含まれている。他にもHuaweiベルギー、ISDIN、ラ・リーガ、メディアプロといった顧客が並ぶ。(The Objective, 17 Nov. 2024)
https://theobjective.com/economia/2024-11-17/marruecos-laliga-mediapro-huawei-pepe-blanco/
https://archive.is/JZpic
【スペイン】
モロッコ:EUが西サハラに対するモロッコの主権を認めるまで、セウタ・メリジャの税関は開かない
スペインがアフリカ大陸(モロッコに囲まれた地中海沿岸)にもっている2つの飛び地、セウタとメリジャとモロッコとの税関は長いこと閉じられたままだ。モロッコはもともとこの2つの都市の「返還」を求めており(スペイン領と認めていない)、西サハラのこともあってスペインに圧力をかける格好の場所となっている。
モロッコは、EUが西サハラに対するモロッコの主権を認めるまで、2つの都市の税関を開けないことを決定した、とスペインのメディア「OK Diario」が報道した。EU司法裁判所の決定にモロッコが怒っているからだ、と外交筋は見ている。サンチェス首相がモロッコを訪問し国王と会談したときも、この税関再開が最大のテーマだったが、会談では解決しなかった。(El Faro de Melilla, 11 Nov. 2024)
https://elfarodemelilla.es/marruecos-no-reabrira-la-aduana-hasta-que-europa-apoye-la-marroquinizacion-del-sahara/
https://archive.is/mMrEP
メリジャ(飛び地)市、モロッコに税関を開けるよう圧力を要請
11月18日(月)、モロッコに囲まれたスペインの飛び地の一つ、メリジャ市は、スペイン政府に対して、EUに働きかけてモロッコに税関を開けるよう迫ってほしいとの要請を出した。2022年5月以来、モロッコ政府は2つの飛び地からモロッコへの物資の搬入を止めている。もしスペイン政府に力がないのなら、EUに要請すべきだとの主張だ。(Europa Press, 18 Nov. 2024)
https://www.europapress.es/ceuta-y-melilla/noticia-melilla-insta-gobierno-pida-ayuda-europa-exigir-marruecos-abra-aduanas-ceuta-melilla-20241118153622.html
https://archive.is/6EIVP
メリジャ産、モロッコへ輸出禁止
モロッコはメリジャ産の商品がモロッコへ輸入されることを禁止した。モロッコはメリジャをすでにモロッコと認識しており、モロッコ国内から国内への輸出はありえないというのが理由だ。2018年8月にメリジャとの国境(税関)をモロッコが封鎖して以後、メリジャの企業はアンダルシアに拠点を置き、そこからモロッコへ輸出していた。しかし、今やメリジャの企業であればスペイン本国からの輸入も認めないことにした。(El Español, 25 Nov. 2024)
https://www.elespanol.com/espana/20241125/marruecos-sigue-estrangulando-melilla-prohibe-ahora-empresas-exportar-mercancias-peninsula/903160187_0.html
https://archive.is/sl7hk
欧州人権裁判所、サハラーウィのスペイン国籍請求を退ける
西サハラ生まれの2人がスペイン国籍を得られないのは差別にあたるとして訴えていた訴訟で、欧州人権裁判所は原告の請求を退ける判断を下した。ただ、裁判所は、スペインの司法及び行政において国籍の取扱いが一貫していないことを認めた。裁判所は、西サハラはスペインの一部であるとは言えないとの判断を示した。(Europa Press, 7 Nov.. 2024)
https://www.europapress.es/nacional/noticia-tedh-inadmite-demandas-dos-saharauis-contra-espana-negarles-nacionalidad-20241107140845.html
https://archive.is/AeWJp
サンチェス首相が夫人のビジネスに便宜をはかる?
議会内会派「混合グループ」のメンバーであるパブロ・カンブロネロ(Pablo Cambronero)議員がベゴニャ・ゴメス(Begoña Gómez)首相夫人の雇用及び財務状況について政府に文書で質問状を送ったが、議会事務局は解答を拒否した。議員の質問は、ゴメス夫人が今年まで所長を務めていたアフリカ・センターのあるIEビジネススクールとの関係が終了したことについてだった。「それが起きたのは、ペガサスが首相をスパイしていたことや首相夫人の名前が何度も現れるモロッコのビジネスネットワークに関する報告書が発表される直前だった。」これらはすべてモロッコのいいなりなるという政策転換が起きた前後のことであり、議員はゴメス夫人がなぜ所長をやめたのかを聞いた。それは彼女のパフォーマンスがよくなかったのか、それともモロッコとの外交関係が理由なのか。(OK Diario, 28 Oct. 2024)
https://okdiario.com/espana/congreso-veta-que-moncloa-explique-negocios-begona-gomez-marruecos-9893546
https://archive.is/3Y087
モロッコ政府のスペイン人記者訴訟(控訴審)、敗訴
ペガサス問題に関連して、モロッコ政府がイグナチオ・センブレロ記者を「うぬぼれ行為(act of boasting)で訴えていた訴訟で、マドリード高等裁判所は、モロッコ政府の言い分を退けた一審判決(2023年3月)を支持した。センブレロ記者は、Forbidden Storiesが発表した報告に基づき、自身の携帯電話を含む多くの電話へのスパイ攻撃はモロッコの秘密情報部が行ったものだと発言。モロッコ政府はこれに怒って記者をスペインの裁判所に訴えていた。裁判所は、そもそもモロッコ政府のような公的な機関は名誉に対する権利はなく、名誉を守るためとして「うぬぼれ行為」を提訴することはできないとした。
2023年1月19日、欧州議会はセンブレロ記者に対する法律を使った嫌がらせをやめ、獄中にある3人のモロッコ人記者を釈放するよう求める決議を採択している。この決議に反対したのはフランスの極右議員とスペイン社会労働党の議員だけだった。サンチェス首相はその日、スペイン社会労働党議員の反対を「決議の一部に同意できなかった」と弁護したが、その議員たちは決議が議論される間、修正提案も出さず、反対意見も述べなかった。センブレロ記者はスペイン国内で左派から右派までの幅広い支援を受けていたが、社会労働党だけは彼に支援の手を差し伸べなかった。(El Confidencial, 19 Nov. 2024)
https://www.elconfidencial.com/espana/2024-11-19/desestimada-demanda-marruecos-cembrero-espiar-pegasus_4006339/
https://archive.is/rCv68
グリーン水素事業でフランスに敗北
モロッコはフランスとスペインが競っていたグリーン水素事業でフランスを選んだ。事業は西サハラに近いモロッコ南部で行われる。フランスのTotal Energiesは2つのデンマークの会社と一緒に1,000メガワットの風力・太陽光発電を行う。スペインはこの事業への参加を望んでいたが、かなわなかった。(OK Diario, 4 Dec. 2024)
https://okdiario.com/espana/mohamed-vi-juega-sanchez-alia-macron-proyecto-hidrogeno-verde-que-prometio-13920899
https://archive.is/ZNqVx
社会労働党全国党大会決議、西サハラを排除
11月29日から12月1日まで開催されたスペイン社会労働党の第41回全国党大会は、青年部や地域支部の提案を退け、西サハラについての言及をしない決議を採択した。161ページに及ぶ決議の156ページで、「国連のルールの枠内で相互に受入れ可能な解決を見いだすための国連事務総長特使の活動を支援する」とだけ述べている。一方、決議はモロッコについても何も語っていない。地域支部はサンチェスの大転換をもとに戻すよう要求し、青年部に至ってはサハラ・アラブ民主共和国を承認するよう求めていた。決議はパレスチナについては「すべての領域における国際法と、外交、平和を擁護する」と述べ、ウクライナについても「ゼレンスキー大統領の平和の枠組を強く支持する」と述べている。また、社会労働党は「国際法に違反し、罪のない市民を攻撃するいかなる国への兵器移転及び軍事的協力を禁止する法案」を準備しているという。しかし、その一方でスペインはイスラエルから兵器を回続けている。「国際刑事裁判所、国際司法裁判所を強化することでそうする」と言いながら、スペイン外相はネタニヤフがスペインに来たら逮捕するかどうか、あいまいな解答しかしない。(El Independiente, 6 Dec. 2024)
https://www.elindependiente.com/espana/2024/12/06/el-psoe-diluye-las-enmiendas-de-sus-federaciones-y-evita-hablar-del-sahara-occidental-en-su-resolucion-politica/
https://archive.is/Kcdim
ボノ元首相(PSOE)、モロッコのタンジェに「邸宅」
社会労働党元党首のホセ・ボノ氏は、近年親モロッコ派の政治家になっている。昔は、モロッコを決して友好国とは呼ばず批判すらする、社会正義へのコミットを掲げるPSOEの政治家だった。それは今ではモロッコのタンジェに文字通りの「邸宅」をもつまでになった。74才にになる誕生日にその邸宅を明らかにした。
ボノ氏は6つの会社をもち、資産は580万ユーロになるとメディアのEl Debateは報じている。彼の会社は競走馬養成、不動産、コンサルタント、再生可能エネルギー、コンピューターセンターと多岐にわたる。彼のビジネス帝国の要はトレド乗馬学校だ。2018年には300万ユーロ近い資産価値をもっていたが、さほど利益はあがっていなかった。その年、利益はわずが7000ユーロだった。ボノ氏は2010年に500万ユーロの施設を建設する資金をどこから得たか、説明はしていない。
また、Ahorres Familiares Saja SLという不動産会社も重要だ。2020年、この会社は387,168ユーロの収益を上げた。資産は75万ユーロになった。現在、この会社を経営するのは娘のアナ氏と彼の妻アナ・マリア氏だ。絶頂期には資本金が200万ユーロに達した。
さらにボノ氏はJoasa 2012 SLというコンサルタント会社をもち、それは2021年に515,000ユーロの利益を上げた。ただ、Viveros 02031924 SLという不動産・レンタル業は数百万ユーロの資産をもっているにもかかわらず2021年の収益はゼロと報告されている。つまり、ボノ氏は多様な戦略でビジネス帝国を築いたが、いくつかの会社の収益性はミステリーだということだ。(El Debate, 14 Dec. 2024)
https://www.eldebate.com/gente/20241214/jose-bono-celebra-74-anos-estrenando-mansion-tanger_252928.html
発覚:モロッコのスパイが逃亡
最近、4人のモロッコ人スパイが少なくとも2人のスペイン軍関係者から機密情報を得て逃亡したという事件が発覚し、スペインの諜報界に激震をもたらしている。国防省に近い筋によると、モロッコ政府はスペイン政府高官と交渉し、問題をエスカレートさせないようにしたという。もし、発覚すれば両国の良好な関係を混乱させるからだ。スパイは「軍の手続きに関するカナリア諸島とメリジャの戦略的データ」を狙ったという。モロッコは近年イスラエルのドローンや米国のF-16戦闘機などを購入し、一方でセウタ、メリジャ、カナリア諸島をモロッコの「歴史的に正当な地域」と喧伝している。加えて、問題なのは、このモロッコのスパイ活動をフランスが支援している疑いがあることだ。2022年のある非公式な報告書によると、NATO(北大西洋条約機構)からスペインの防衛関連データが漏洩し、それらがモロッコの情報部に渡ったとされる。それはスペインの防衛能力を弱めるためになされたのではないかと疑われる。(El Periodico de Ceuta, 17 Dec. 2024)
https://www.elperiodicodeceuta.es/el-pacto-secreto-de-sanchez-con-marruecos-asi-huyeron-los-espias-que-robaron-informacion-militar-de-canarias-y-melilla/
西サハラ空域管制権のモロッコへの譲渡を否定
アルバレス外相は、西サハラの空域をモロッコに引き渡すのではないかとの疑いに対して、明確に否定した。それは、12月17日、EH Bildu(バスク左派)所属の議員、ホン・イニャリトゥ氏の質問に答えたものだった。西サハラの空域はカナリア諸島の管制域に属すが、空港自体はモロッコが管理している。2022年4月7日のスペイン・モロッコ共同声明は「空域の管理に関して協議を開始する」と、あいまいな表現をしている。協議は始まっているが、その進捗は明らかにされていない。(Publico, 18 Dec. 2024)
https://www.publico.es/politica/congreso/albares-tacha-teorias-extranas-acusaciones-sobre-cesion-espacio-aereo-sahara-marruecos.html
https://archive.is/AJXOb
社会主義インターナショナル、モロッコで開催
スペインのペドロ・サンチェス首相は現在、社会主義インターナショナルの会長を務めている。2024年の2回の理事会はマドリード(2月)とモロッコのラバト(12月)で開催された。ラバトでの会議には60ヶ国から300人以上が参加した。いわゆる民主国以外での開催はラバトが初めてであるが、サンチェス首相の要請で実現した。ラバトでの理事会は12月21日・22日に行われ、サンチェス首相は基調講演を行った。社会主義インターナショナルに加盟するモロッコの政党は、人民勢力社会主義同盟(USFP)だが選挙で敗北を続けて、今は34議席(11.5%)しかない。政治囚の釈放すら求めない、国王に忠実な政党だ。USFP党首のドリス・ラシュガル氏は、モロッコの西サハラでの自治を支持するサンチェス首相を「モロッコの友人」と呼ぶ。(El Confidencial, blog by Ignacio Cembrero, 21 Dec. 2024)
https://blogs.elconfidencial.com/mundo/tribuna-internacional/2024-12-21/sanchez-convoca-internacional-socialista-rabat-marruecos_4028591/
https://archive.is/tCGu7
モロッコの傀儡運動が社会主義インターナショナルに加盟か
設立から4年しかたっていない、モロッコの「サハラーウィ平和運動(MSP)」は、スペイン社会労働党とモロッコの人民勢力社会主義同盟のバックアップを受けて、社会主義インターナショナルのオブザーバーとなることを狙っている。その先にあるのは社会主義インターナショナルからのポリサリオ戦線の追放だ。12月にラバトで行われた社会主義インターナショナルの理事会ではいい「感触」をえたという。MSPは、2022年6月に漏洩したスペイン情報局(CNI)の報告書によると、モロッコのDGSD(諜報機関)と連携しているような団体だ。しかし、設立以来、社会労働党の重鎮たちがその会合に招待されるなどしている。(El Independiente, 26 Dec. 2024)
https://www.elindependiente.com/espana/2024/12/26/el-psoe-apadrina-la-entrada-en-la-internacional-socialista-de-un-movimiento-saharaui-que-el-cni-vincula-con-marruecos/
https://archive.is/9HuWA
【フランス】
仏モロッコ大使、西サハラを訪問
11月11日(月)、フランスのモロッコ大使、クリストフ・ルクルティエ大使は西サハラ訪問を開始した。エル・アイウンとダーフラを訪問する。仏大使が西サハラを訪問するのは初めてだ。米国のモロッコ大使、デイビド・フィッシャー大使は2021年1月10日に西サハラを訪問しており、大国としては2番目になる。(Europa Press, 11 Nov. 2024)
https://www.europapress.es/internacional/noticia-embajador-frances-marruecos-comienza-visita-oficial-sahara-occidental-20241111193810.html
https://archive.is/2CHX3
ポリサリオ戦線の弁護士、ジル・デヴェール氏、68才で死去
西サハラとパレスチナの擁護を行ってきたフランスの弁護士、ジル・デヴェール氏(Gilles Devers)が11月26日、68才で死去した。病気を長く患っていた。リヨン第3大学の教授でもあり、『法、倫理、ケアー(Droit, Dóntologie et Soins)』という雑誌の編集長を務めていた。近年の法廷活動では、国際刑事裁判所(ICC)で2人のイスラエル高官に対する逮捕状を勝ち取り、EU司法裁判所での西サハラ関連訴訟でEUに対して勝訴したことが特筆される。(TSA, 26 Nov. 2024)
https://noteolvidesdelsaharaoccidental.org/muere-gilles-devers-el-abogado-de-la-causa-saharaui-a-los-68-anos-tsa/
https://www.tsa-algerie.dz/gilles-devers-lavocat-de-la-cause-sahraouie-seteint-a-lage-de-68-ans/
カザヌーブ元首相、在モロッコ仏商工会議所会議で議長
ベルナール・カザヌーブ元首相(2016-2017年、オランド大統領の元で5ヶ月間だけの首相)は12月11日にカサブランカで行われる在モロッコフランス商工会議所(CFCIM)の会合「激動の世界におけるヨーロッパ・アフリカの経済パートナーシップ」で議長役を務める。カザヌーブ氏はオーグスト・デブジ(August Debouzy)というパリの法律事務所のパートナーで、この法律事務所は2007年にカサブランカに事務所を開いた。しかし、当初モロッコ側パートナーとなっていた弁護士カマール・ナスロラ氏が2012年にライバルの米法律事務所に移ったため、カサブランカ事務所はなくなっている。(Africa Intelligence, 9 Dec. 2024)
https://www.africaintelligence.fr/afrique-du-nord/2024/12/09/bernard-cazeneuve-se-fait-le-chantre-du-partenariat-euro-africain-a-casablanca%2C110348330-bre
フランス国民議会にもモロッコロビー
国民議会(下院)議員のナイマ・ムトゥシュー(Naïma Moutchou)氏は、議会内の西サハラ学習グループの解散を求めてヤエル・ブロン=ピヴェ議長に書簡を送った。西サハラ学習グループは「不服従のフランス(La France Insoumise)」、共産党、緑の党、社会党が参加している。12月18日の国民議会の理事部(役員会)の会合ではグループ解散は承認されなかったものの、対立する政党からも共同議長を選ぶこと、1年ごとに活動状況を評価することが決められた。(注:2026年3月現在、ムトゥシュー氏は海外領土大臣を務めている。)(Yabiladi, 21 Dec. 2024)
https://archive.is/0Neff
https://www.yabiladi.com/articles/details/157872/france-naima-moutchou-s-oppose-lobbying.html
【アイルランド】
ライアンエアー、西サハラへの航空路開設
アイルランドの航空会社ライアンエアーは、1月からマドリードからカナリア諸島のランサロテ(Lanzarote)を経て西サハラのダーフラへ飛ぶルートを開始する。EU司法裁判所は2018年11月30日の命令(T-275/18)で、モロッコとの航空協定は西サハラを含んではならないとした。ただ、命令は判決ほどの重みはない。(El Confidencial, 16 Nov. 2024)
https://www.elconfidencial.com/mundo/2024-11-16/batalla-agricola-pesquera-empieza-sahara-occidental_4004912/
https://archive.is/pC2vM
【ロシア】
ロシア・アフリカパートナーシップフォーラム閣僚会議
日本がTICADを行い、EUがEU-AUサミットを行っているように、ロシアもアフリカ諸国とバイラテラルなフォーラムを開催している。11月9・10日、ソチで開催されたロシア・アフリカパートナーシップフォーラムの閣僚会合では、北アフリカとの自由貿易圏の形成が約束された。そこにモロッコも含まれる。2023年、プーチン大統領はエジプト、モロッコ、チュニジア、アルジェリアとの自由貿易協定を準備中だと語った。ロシアとモロッコは2002年に戦略的パートナーシップ協定を結んでいる。2016年にムハンマド6世国王がモスクワを訪問したことで提携関係は強化された。(Yabiladi, 11 Nov. 2024)
https://www.yabiladi.com/articles/details/156133/russie-relance-projet-zone-libre-echange.html
https://archive.ph/vPeht
ロシア、モロッコと漁業協定更新か
ロシアとモロッコが2020年に締結した4年間の漁業協定の更新を計画している。EUがEU司法裁判所の判決をまだ咀嚼できないうちに、漁業部門でロシアはリードすることになりそうだ。ロシアはいわしなど遠洋魚を1万トンとれるようになる。これについてアルジェリアもポリサリオ戦線もコメントしていない。(Yabiladi, 1 Dec. 2024)
https://www.yabiladi.com/articles/details/156930/peche-sahara-russie-prend-longueur.html
https://archive.ph/AtZRn
【中国】
中国企業2社、モロッコから変圧器の受注を獲得
モロッコの電気・水道庁のターリク・ハマーン長官は中国企業2社、ナントン・ヒョスン(南通暁星)変圧器社と テビアン発電関連機器(特変電工)に変圧器購入の契約を与えた。総額4,070万ドルになる。2社は11の自動変圧器と関連部品を納める。(Africa Intelligence, 30 Oct. 2024)
https://www.africaintelligence.fr/afrique-du-nord/2024/10/30/l-onee-attribue-un-marche-de-40-millions-de-dollars-a-deux-acteurs-chinois-de-l-electricite%2C110333375-bre
習近平、モロッコを訪問
11月21日(木)習近平国家主席はモロッコを訪問した。カサブランカの空港で出迎えたのはムレ・ハサン王子やアハヌーシュ首相だった。(Swissinfo/EEF, 21 Nov. 2024)
https://www.swissinfo.ch/spa/xi-jingping-realiza-una-%22breve-visita%22-a-marruecos-y-es-recibido-por-el-pr%C3%ADncipe-heredero/88273205
【中南米】
パナマがサハラ・アラブ民主共和国の承認を撤回
パナマは1978年にサハラ・アラブ民主共和国を承認したが、2013年に関係を凍結。2015年に関係を再開し、この11月21日、その承認を撤回した。(Europa Press, 22 Nov. 2024)
https://www.europapress.es/internacional/noticia-panama-suspende-relaciones-diplomaticas-republica-arabe-saharaui-democratica-20241122051504.html
エクアドルがサハラ・アラブ民主共和国の承認を撤回
12月2日(月)、エクアドルのガブリエラ・ソマーフェルド外相はモロッコのブリタ外相とのビデオ会議の中で、エクアドルがサハラ・アラブ民主共和国の承認を撤回し、モロッコ主権下の自治を重要とみなすと述べた。エクアドルはサハラ・アラブ民主共和国を1983年に承認し、2004-2006年の2年を除いて承認を継続していた。2022年からサハラーウィ大使を受け入れていた。(Swissinfo/EFE, 2 Dec. 2024)
https://www.swissinfo.ch/spa/ecuador-deja-de-reconocer-a-la-república-saharaui-y-valora-que-sea-autonom%C3%ADa-de-marruecos/88441812
パラグアイ、西サハラへのモロッコの主権を承認する議会決議
パラグアイ議会は、モロッコの西サハラに対する主権を認める決議796号を採択した。背後には、イスラエル議会(クネセト)の議長、アミール・オハナ氏がパラグアイの大統領、議会議長などと会談を行ったことがある。オハナ氏はモロッコからの移民であり、イスラエル・モロッコ関係の強力な推進者だ。決議は議長の提案で採択された。(Jerusalem Post, 19 Dec. 2024)(注:アミール・オハナクネセト議長は2025年8月に来日し、藤井外務副大臣と会談している。ガザの問題についてイスラエルの立場を説明した。)
https://www.jpost.com/international/article-834086
https://archive.is/H3KbL