難民キャンプ、2020年の夏
難民キャンプに暮らすサハラーウィには毎年、夏の恒例行事がありますが、今年はそれがコロナ問題のために例年とは違った形で進められています。
<平和な夏休み>
8歳から12歳の子供たちが、チャーター便でヨーロッパ(主にスペイン、イタリア、フランス)に行き、ホームステイや合宿をして過ごす夏休みプロジェクト。
毎年3千人ほどの子供たちが、1ヵ月から1ヵ月半ほどの期間を滞在先で過ごします。
「平和な夏休み」は栄養面で子供たちの発育の一助となり、海山をはじめ難民キャンプとは違った体験を提供します。
健康に問題を抱える子どもは、滞在を延期して治療を受けるなどします。
コロナで渡航が不可能になった今夏は、このプロジェクトの担当省である青年・スポーツ省が、子供たちに現地で「もう一つの平和な夏休み」を提供しています。
1) 移動映画館
難民キャンプで毎年開催される「Fisaharaサハラ国際映画祭」の縮小版。
難民キャンプにある視聴覚養成校「アビディン・カーイド・サーレフ」とタイアップし、難民キャンプと解放区のあちこちで映画上映をして廻ります。
2) 解放区の見学訪問
軍用トラックに乗せられた子供たちが、国境を越えて移動し、解放区のチーファ―リーチー村を訪問。
ほとんどの子供たちにとって、初めて訪れる自分たちの国です。
見学先は病院(スペインのナバーラ県が建設)、岩壁画の遺跡、実験農場など。
夜には子供たちの「のど自慢大会」が催されます。
RASD国営テレビが収録した映像を、青年・スポーツ省のフェイスブックで見ることができます。
https://www.facebook.com/Juventudrasd/
<夏季講座>
行政管理職などの養成講座で、今まではアルジェリアの地中海側にある町ブーメルデスでアルジェリア人講師の下に行われてきました。
RASDのコロナ感染状況は、今までのところ難民キャンプで少規模、解放区ではゼロです。
今年の夏季講座は解放区のチーファ―リーチーで、8月22日サハラーウィ自身が講師を務めて400名の参加者と共に開催されました。
開講式で演説を行ったガーリー大統領は、「私たちの存在性が解放区にも及ぶことは重要なことである。それは敵国の野心的意図や様々な困難に対する挑戦の一つである。」と語り、解放区のインフラ整備に向けた政策意図を伝えました。
講座の首長を務めるハトゥリー・アッドゥフ氏
ソース:SPS西サハラ通信、FiSahara facebook、青年・スポーツ省facebook